10 紀北・紀中
急峻な地形に合わせた 農業景観を巡る
~紀州みなべ・田辺の名産「南高梅」「備長炭」と生態系~

©みなべ観光協会
地域の特徴
自然エリア10の特徴的な自然環境は「丘陵地にある梅林と薪炭林」です。みなべ・田辺地域は養分に乏しい土地で、加えて海の近くまで山地が延び、農耕のための平地が少ないという環境であることから、礫質で崩れやすい斜面を利用して、択伐林であるウバメガシを残しつつ梅林を配置し、400年以上にわたり高品質な梅を持続的に生産してきました。
梅林が二ホンミツバチの重要な給蜜源になると同時に、梅が二ホンミツバチによって受粉する共生関係が成り立っています。梅林やウバメガシにはハイタカやオオタカが生息するほか、サシバやハチクマ等の猛禽類も多く飛来します。また、梅林とウバメガシが維持管理されることで崩れやすい斜面地の崩落が防がれ、丘陵地一帯の自然環境および多様な生きものの生育・生息環境の保全に繋がっています。
観梅や収穫、奉納祭、梅を使った伝統的な食文化等も地域の人々の生活に根付いています。古くから梅栽培が盛んであった本地域では、その自然資源を活用した文化や産業が継承されてきました。
訪問先の位置とモデルプラン

みどころ
梅の栽培地
©みなべ観光協会
世界農業遺産に認定された「みなべ・田辺の梅システム」を見に行こう
/和歌山県みなべ町
和歌山県南部のみなべ・田辺地域は日本一の梅生産地として有名です。ここには先人の知恵と工夫で作られた「みなべ・田辺の梅システム」があります(後述)。集落に住む人々は、品種改良や農法改善、森林資源管理の努力を惜しまず、400年にわたってこのシステムを持続的に維持してきました。
一方で、紀北・紀中に広がる国内でも有数のモモ、ウメの産地では、バラ科の樹木を食害するクビアカツヤカミキリ(特定外来生物)の被害が拡大しています。単一作物栽培によるリスクを軽減するために他作物との複合経営等を進めたり、防除の観点からも初期段階の駆除や生物多様性を高めることに配慮した作物の栽培が望まれます。
<みなべ・田辺の梅システム>
○稲作に不向きな斜面に梅を植栽し、草生栽培(除草せず根を利用して土壌を管理する方法)で土壌流出を防ぎ、有機物の循環もはかる。
○梅林の上の尾根部はウバメガシなどの薪炭林を残して育て、高付加価値の紀州備長炭の持続的生産と、斜面崩壊を防ぐ機能を持たせる。
○梅林と薪炭林で育成している二ホンミツバチが花粉媒介者として梅林との共生関係を築き上げる。
○梅林下のため池は下流部の水田や畑地を潤す。
住所:和歌山県日高郡みなべ町東本庄1555
サイト:https://www.giahs-minabetanabe.jp/
ウバメガシの択伐林
©和歌山県
「ウラナミアカシジミ紀伊半島南部亜種」を見に行こう
/和歌山県田辺市
備長炭の原料であるウバメガシは、海に近い山地から海岸沿いまで多く見られ、「和歌山県の県の木」として定められています。みなべ・田辺地域では昔から「薪炭林を残すために、山全体を梅林にしない」という習慣が守られてきました。炭焼き職人がウバメガシを残しながら森を維持してきたことで、急斜面の山の農地が土砂崩れなどで荒れるのを防いでいます。この地道な管理・整備によって山は健全な状態に保たれ、持続可能な農林業が維持されてきました。
一時は製炭効率が求められ、原木伐採業者から原木を購入する炭焼き職人が増えたり、管理が滞ったことでシイ類が優占する雑木山や老齢化する原木林が増加しましたが、近年は昔からの炭焼き職人自身による伐採を行い、持続可能な施業に取り組んでいます。
また、近年増加しているシカの食害がウバメガシ林においても見られますが、択伐施業は伐採後の更新が早くなるため、シカ食害への対策としても効果があると考えられています。
住所:和歌山県田辺市秋津川
紀州備長炭発見館
©紀州備長炭発見館
窯出し体験をしに行こう
/和歌山県田辺市
木炭の歴史と文化、科学、製法等についての展示や炭焼き窯の見学等、紀州備長炭を深く知ることができます。
紀州備長炭は、ウバメガシなどを原料とした固くて良質な白炭(はくたん又はしろずみ)で、料理の加熱・焼き物に最適の材料です。和歌山県は日本有数の白炭の生産量を誇っており、年間約1,000トンを生産しています。紀州備長炭の品質の高さは、世界中で生産されている木炭の中でも秀逸で、原料となるウバメガシの存在をはじめ、窯の構造・製炭方法も品質の高さに影響しています。昭和49年、紀州備長炭の製炭技術は、和歌山県の無形民俗文化財に指定されました。現在は、昭和45年に結成された「紀州備長炭技術保存会」によって技術が継承されています。
電話:0739-36-0226
住所:和歌山県田辺市秋津川1491-1
サイト:https://www.binchotan.jp/knowledge/
保全に関わっている団体
本地域では、年間を通じて様々なイベントが行われています。下記連絡先を紹介します。見学とともにイベントにも参加しましょう
みなべ観光ガイドの会
©みなべ観光協会
みなべ町の自然風土や歴史、文化、ガイドブックには載っていない楽しい話題、地元ならではの素朴なあったかトークでおもてなしいたします。観光ガイドは、あなたとの出会いを心から楽しみにしています。お一人様から団体様までお気軽にお申し込みください。
電話:0739-33-9310(みなべ町役場うめ課内)
住所:和歌山県日高郡みなべ町芝742
サイト:https://www.minabe-kanko.jp/sightseeing/763
和歌山県木炭協同組合

生産者および流通関係者の県の組織として世界に誇る紀州備長炭の技術の研鑽および伝承、品質の向上に携わっています。近年は、県と共催で紀州備長炭の担い手育成を目的とした「やまづくり塾」を開催しています。
電話:0738-53-1250
住所:和歌山県日高郡印南町大字印南2288番地の5
その他の訪問先や施設等
農家レストラン みかん畑
都市と農村の交流施設『秋津野ガルテン』内にあるレストランです。地元で採れる新鮮な野菜を使った、お母さんたちの手づくりの家庭料理を味わえます。スローフードバイキングは1日100名限定。
電話:0739-35-1199
住所:和歌山県田辺市上秋津4558-8
水ときらめき紀の川館
紀の川の歴史や過去の水害時の様子、建設中の貴重な写真等の展示を巡ることで、先人たちがどれほどの願いを込めて川と向き合ってきたのかが伝わります。
「魚道観察室」では、階段式魚道を魚が登る貴重な様子を観察することができます。
クイズ等の展示で遊びながら学べるため、子どもでも楽しく学びを得ることができます。
電話:073-423-2080
住所: 和歌山市有本462 紀の川大堰管理所1F
和歌山県植物公園緑花センター
山々に囲まれた広い園内に様々な植物が植栽されており、どの季節に訪れても見ごたえのある施設です。また、クマノザクラ、キイジョウロウホトトギス、キイシモツケなどの和歌山原産の植物を、自生地まで足を運ばずとも街のすぐそばで観察できます。
電話:0736-62-4029
住所: 和歌山県岩出市東坂本672
サイト:http://www.w-botanicalgarden.jp/
メール:center@w-botanicalgarden.jp
Instagram:@ryokkacenter_official
和歌山県立自然博物館
那智原始林を模したジオラマや、和歌山県の優れた自然環境を示した地図等、屋内にいながらも和歌山県独自の自然を肌で感じることのできる展示が多数あります。
水族館コーナーでは、和歌山県に生息する約450種の水にすむ生き物が展示されており、「和歌山の自然の縮図」と言える場所です。
電話:073-483-1777
住所: 和歌山県海南市船尾370-1
サイト:https://www.shizenhaku.wakayama-c.ed.jp/
メール:postmaster@shizenhaku.wakayama-c.ed.jp
Facebook:WakayamaPref.Mus.NaturalHistory
Instagram:@wakayama_museum_nat_his
Instagram:@WMNH
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