5 太平洋とその沿岸
串本
地域の特徴
黒潮の分枝流を中心とする流れの速い沿岸流に洗われているため、海岸の侵食も大きくなります。また、山々の間をぬった河川から流れ出た砂れきが、沿岸流等で河口付近に運ばれ、砂浜や礫浜がつくられています。その海岸を縁取るように「大陸棚」とよばれる平らな海底地底が広がっています。この海岸・海底部に、黒潮が運んできた熱帯系の海の生きものが多く生育、生息しています。
千里の浜~田辺湾~白良浜にかけては遊漁船を使って、海側から特徴的な海岸の地形・地質とその上に成り立つ植生を見ることができます。天神崎・元島へは陸から渡り、暖地性植生や岩礁の動植物等を観察します。白浜町周辺のサンゴ群集は、シュノーケリングで本来の多様性豊かな環境と様々な危機にさらされている環境を観察し、その活用と保全について考えます。
地域
クローズアップ
田辺湾周辺の海岸景観

©和歌山県
内之浦漁港からの遊漁船で、海岸地形や植生を見にいこう
/和歌山県田辺市
沿岸流による地形や波に浸食された地形等、海に作用された特徴的な地形がみられます。
千里の浜や白良浜の砂浜、天神崎の岩礁地、元島や神島等森が茂る小島、田辺湾の複雑に入り組む海岸線、鳥巣半島や白浜の泥岩岩脈、番所ノ崎の海食崖や海食台、サンゴ礁等で、その上の陸には暖地性~亜熱帯性~熱帯性植生が成立し、特徴的で他にはない海岸景観が成り立っています。
住所:和歌山県田辺市新庄町
天神崎・元島

©和歌山県
天神崎から元島へ防波堤を歩いて渡ってみよう
/和歌山県田辺市
「天神崎」は、田辺湾の北側に突き出た岬で、緑豊かな丘陵部と平らな岩礁で形成されています。陸性と海洋性の動植物が、平たい岩礁をはさんで共存し、森・磯・海の三者が一体となって、一つの生態系を作っています。市街地に近接しているにも関わらず、豊かな自然が残されていることが特徴です。
「元島」は魚付き林として保全されています。森林から供給される有機物が水中に流れでて栄養物質や飼料となり、水面上に落とした影が魚類の好む暗所となることが知られており、日本では古くから魚付き林の漁業に対する効果が認識されています。
住所:和歌山県田辺市天神崎
千里の浜

©和歌山県
アカウミガメの生態を学びに行こう
/和歌山県日高郡みなべ町
アカウミガメは、北太平洋等に生息するウミガメで、日本列島の外洋に面した砂浜で産卵し、孵化した幼体は2~3年をかけアメリカ大陸西海岸に到達します。30~40年後、成体になったアカウミガメが再び日本の海岸に上陸し、産卵します。
和歌山県内のアカウミガメの産卵地は、みなべ町千里の浜、串本町上浦海岸、新宮市王子ヶ浜等が知られています。その中でも千里の浜は、本州で最も産卵密度の高い砂浜です。1964(昭和37)年には、ウミガメが上陸する砂浜として、県の名勝・天然記念物に指定されています。
電話:0739-74-8787(みなべ観光協会)
住所:和歌山県日高郡みなべ町山内259
白浜町のサンゴ群集

©特定非営利活動法人 自然体験学習支援センター
シュノーケリングによるサンゴや魚類等の海洋生物調査体験をしよう
/和歌山県西牟婁郡白浜町
白浜町沿岸や田辺湾の海域には、サンゴが高い密度で広範囲に生息しています。サンゴ生息域は、「海中の熱帯雨林」とよばれるほど豊かな「生物の多様性」を保っており、海洋環境に重要な役割を果たしています。
近年、日本におけるサンゴ群集は、白化現象やサンゴを食するオニヒトデや巻貝の大量発生、人の生産活動等による水質・底質の悪化等、様々な危機にさらされています。和歌山県沿岸に生息するサンゴ群集も例外ではありません。
特定非営利活動法人 自然体験学習支援センター
住所:和歌山県和歌山市園部947番地
電話:073-462-3977
保全に関わっている団体
本地域では、年間を通じて様々なイベントが行われています。下記連絡先を紹介します。見学とともにイベントにも参加しましょう。
公益財団法人 天神崎の自然を大切にする会

和歌山県田辺市の天神崎の山、磯の環境保全を行っている団体です。当会は、学生、一般の方々に、天神崎を知ってもらうために、自然観察教室とは別に随時天神崎の山、磯の生物や天神崎の保全運動ついての説明を行っています。
電話:0739-25-5353
住所:和歌山県田辺市天神崎5-17
特定非営利活動法人 自然体験学習支援センター

和歌山の自然を保全し、体験学習を通し、地域社会の持続的発展に貢献します。
電話:073-462-3977
住所:和歌山県和歌山市園部947番地
サイト:nes-center.org
メール:nescenter.org@gmail.com
その他の訪問先や施設等
和歌山県立自然博物館
豊かで美しい和歌山県の自然を紹介する施設です。水にすむ生きものの展示を中心に、動植物、昆虫、貝、化石などの標本も展示・収蔵し、興味を持って楽しみながら学習できます。また、研究や教育普及活動を通じ、地域に親しまれる博物館をめざしています。
住所:和歌山県海南市船尾370-1
電話:073-483-1777
みなべ町千里ウミガメ館
千里の浜近くにある施設。生態を説明したパネル展示などで、アカウミガメの特徴などを知ることができます。
住所:和歌山県日高郡みなべ町山内259-2
電話:0739-74-3134(みなべ町教育委員会)
和歌山県立博物館
和歌山県ゆかりの文化財及び博物館資料を、積極的に収集・保管・調査・展示が行われています。きのくに-和歌山県の3万年の歴史を紹介する常設展「きのくにの歩み-人々の生活と文化-」と、県内の文化財や歴史を主題とした展示が行われています。
住所: 和歌山県和歌山市吹上1-4-14
電話:073-436-8670
サイト:https://hakubutu.wakayama.jp/
徳島県立博物館
徳島県立博物館は、文化の森総合公園に建設された、考古・歴史・民俗・美術工芸の人文科学と動物・植物・地学の自然科学の各分野をあわせた総合博物館です。館内で様々な企画展を開催しています。
住所:徳島市八万町向寺山 (文化の森総合公園)
電話:088-668-3636
サイト:https://museum.bunmori.tokushima.jp/
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