平成25年3月15日 関西地域カワウ広域保護管理計画(案)に対する意見とそれに対する事務局の考え方

「関西地域カワウ広域保護管理計画(案)」に対する府県民意見等を募集した結果、9名から延べ14件のご意見・ご提言をいただきました。
いただいたご意見・ご提言に対する関西広域連合の考え方は下記のとおりです。

(参考)

(1)地域の被害状況および被害対策状況に関するもの

地域の被害状況および被害対策状況の一覧
番号 御意見の概要  御意見に対する考え方
1-1  春先の鮎釣り解禁までの追払いを目的とした銃による捕獲及び手捕りによるねぐらの取り壊しをおこなっている。これは対症療法に過ぎず、計画的なコントロールには至っていない。恒常的な対策を練るにしても、河口のねぐらから川中の魚を狙う鳥類への対策は困難であり、またその人手も足りない。
河口に大規模なコロニーがあり、今後放置すれば周囲にも大きな被害を及ぼす可能性がある。
カワウは広域を移動すること、および人手不足等のために十分な対策の実施が難しいこと等により、計画的な管理が難しい状況にあると考えられます。関西広域連合では、対策検証事業として広域的な視点から効果的な対策手法を探るとともに、各地の防除事例を収集し、事例集として共有することによって、各地における対策が推進されるよう、各府県および市町村等と協力し、取り組んでまいります。 
1-2 かつては多くの鮎が生息し、多くの釣り人で賑わう河川だったが、1990年代頃から50匹を超えるほどの大型のカワウの群れが飛来し、鮎を含む川魚だけでなく、カジカガエルなどにも被害が及んでいる。これは水産業だけでなく、観光分野にさえ影響を及ぼしている。
銃器による捕獲のほか、花火やテグス張りなどの方法でカワウの追払いを行っているが、近年は群れが小型化し生息域も広範囲になってきている。過疎化の影響もあり広範囲に及ぶカワウに対応することは非常に難しい。
カワウは広域を移動すること、および人手不足等のために十分な対策の実施が難しいこと等により、計画的な管理が難しい状況にあると考えられます。関西広域連合では、対策検証事業として広域的な視点から効果的な対策手法を探るとともに、各地の防除事例を収集し、事例集として共有することによって、各地における対策が推進されるよう、各府県および市町村等と協力し、取り組んでまいります。 
1-3 平成8年頃よりカワウが飛来するようになった。観光地でもある当該地区は、遊漁者も多く、銃器の使用が禁止されているため、テグス(18号)を張るのが有効な対策であり、実施している。テグスが張れない場所には、電子センサーの設置が一定の効果があるが、電子音がするため、地域住民からの苦情もある。 カワウの被害防除については、地域の状況に応じて各地で実施していただいているところです。関西広域連合では、各地域における防除の取組みの生の声を収集し、事例集として共有することによって、他の地域における類似事例等を参考にしていただけるようにしたいと考えています。
1-4 近年カワウを見るのは6月末から7月中旬、5羽くらい。
滋賀県の竹生島をねぐらにしているようだ。
カワウの移動状況は正確には明らかになっていませんが、河川における飛来の時期・数・方向等の情報は、ねぐら場所の推定、対策手法の検討に役立ちます。今後とも観察・記録・情報の提供等にご協力をお願いいたします。 
1-5 カワウ問題が発生し、10年以上経過し、飛来も増え、対策経費が漁協経営をできなくなっているところまできている。友釣りシーズン中もカワウが飛来するようになり、遊漁券の売り上げが減となり、釣り人離れが加速している。生態系的にもウグイ・アブラハヤ他の魚種が少なくなっていた。
地域での一斉駆除により、隣接地域での飛来が増えた。
隣接地域で捕獲許可の基準に温度差がある。 
カワウによる魚類の捕食量は甚大なものと推定されており、漁業被害も深刻なものであると認識しています。関西広域連合は、一部地域での駆除によって近隣地域への影響が出ることのないよう、広域的な視点をふまえた対策の必要性を提示し、各府県および市町村等と協力して対策に取り組む必要があると考えます。 
1-6 友釣りをメインとして収入源にしている漁協は経営ができなくなってきている。
地域でカワウ一斉駆除をし、近隣の市町へ影響が出ている。
カワウによる魚類の捕食量は甚大なものと推定されており、漁業被害も深刻なものであると認識しています。関西広域連合は、一部地域での駆除によって近隣地域への影響が出ることのないよう、広域的な視点をふまえた対策の必要性を提示し、各府県および市町村等と協力して対策に取り組む必要があると考えます。 

(2)関西広域連合の取組みに対する意見・提案

取組みに対する意見・提案一覧
番号 御意見の概要 御意見に対する考え方
2-1 関西地域カワウ広域保護管理計画(案)については、対策検証事業の成果、防除事例研究の充実による、より効果的な対策の確立に期待する。  対策検証事業の実施および防除事例の蓄積により、各地における対策が推進されるよう取り組んでまいります。 
2-2 追払いだけでは被害箇所が分散するだけで、カワウ対策として不十分。広域でカワウの捕獲を行い、生態系のバランスを適正に保つことが重要である。被害地区をいくつかに分類し、さまざまな対策を講じることで効率的な対策を考えていくべきではないか。  御指摘のとおり、無計画な追払いは、被害箇所の分散を招くおそれがあることが知られています。関西広域連合では、対策検証事業としてモデルとなる地域を選定し、地域の事情に合わせた対策およびその効果の評価をおこなうことによって、効率的な対策を探っていきたいと考えています。
なお、生態系のバランスを保つための適正羽数については、現状では十分な知見が得られてないことから、今後、対策とモニタリングを進める中で検討してまいります。
2-3 銃器による駆除については、広域で実施しないと、効果がない。  御指摘のとおり、銃器による駆除については、一部地域で実施しても他地域からの移入により個体数が減少しない、攪乱により他地域へ分散する等の課題があり、必ずしも十分な効果が得られない場合があります。関西広域連合では、広域的な視点をふまえた対策の必要性を各府県および市町村等と共有し、協力して対策に取り組んでいきたいと考えます。 
2-4 一日も早く関西地域でのカワウ撲滅をお願いする。カワウとの共存策は、これ以上無理である。昔からカワウが生息していなかった。鹿や猪と同じ駆除でとどまっては、内水面漁協としての経営はできない。  カワウは古くから日本に生息している鳥であり、外来種等の場合と異なり根絶は好ましくないと考えます。したがって、当該計画の目標はカワウの根絶ではなく、被害の軽減としております。ただし、被害を軽減するために許容できるカワウの生息数は地域によって異なると想定されますので、適正羽数については、今後、対策とモニタリングを進める中で検討してまいります。
2-5 調査レベルの仕事は終っている。  御指摘のとおり、調査についてはこれまで各府県で実施されていたところもありますが、広域で一斉に実施することにより、効果的な対策の時期や場所等の特定につながることが期待されます。また、生物の生息状況は季節によってまたは年によって変動することから、継続的に実施する必要があります。以上のことから、関西広域連合では広域的視点を活かした調査を継続したいと考えています。
一方で、甚大な漁業被害等の対策が急務であるとの認識から、対策検証事業の実施および防除事例の蓄積等により、各府県および市町村等と協力して、地域における対策が促進されるよう取り組んでまいります。 
2-6  関西広域に期待していたが、ホームページを見て絶望を感じる。今仕事されている内容は、各都道府県が既に行った仕事で、一からの出だし。足踏みしている状況としか思えない。2006年5月22日には、滋賀県で中部近畿カワウ対策協議会も開催されている。今同じ状況の繰り返し。
今後、専門に知識のある人が対応して、今年と来年でカワウの数を関西で減らさないと、漁協は経営ができない。
緊急性をもった対応をしないと関西広域の役割は果たせない。 
御指摘のとおり、調査についてはこれまで各府県で実施されていたところもありますが、広域で一斉に実施することにより、効果的な対策の時期や場所等の特定につながることが期待されます。また、生物の生息状況は季節によってまたは年によって変動することから、継続的に実施する必要があります。以上のことから、関西広域連合では広域的視点を活かした調査を継続したいと考えています。
一方で、甚大な漁業被害等の対策が急務であるとの認識から、対策検証事業の実施および防除事例の蓄積等により、各府県および市町村等と協力して、地域における対策が促進されるよう取り組んでまいります。 
2-7 鳥類なのでどこへ行くのか検討がつかないため、広域連合で対応することは大変良い取り組みだと思う。しかし、人員は限られている。水産業関係者へのアンケート調査も良いと思う。
広域連合でボランテイアを募り、期間、地域を決めて調査してはどうか?市町村単位でボランテイアを募集すれば大きな戦力になる。
1)広報やパブリシテイでボランテイアを募集する
2)報告用紙を配布し、「見た場所、数、月日、状況」などを記入してもらい、月1回報告書を郵送にて回収する
3)調査結果は、市民に公表する 
平成23年度以降、関西広域連合では、ねぐら・コロニーにおけるカワウの調査を鳥類の専門家に委託して実施しています。これは、広域におけるカワウの生息状況を統一的に調査することが初めての試みであり、詳細なデータを収集するために専門的な知見や技術を有する者に任せる必要があったためです。今後、情報の集積とともに、簡略化が可能かどうか検討してまいります。
一方、新たなねぐら・コロニーの発見情報や、飛来の目撃情報等についての情報は幅広く必要と考えます。御提案いただいた内容も含め、情報収集体制の整備について、検討してまいります。 
2-8 カワウの繁殖抑制に関する提案
1.目的
カワウの繁殖を抑制する目的をもって、大型コロニーにおける営巣・抱卵・孵化活動の時期に、コロニー内に宿営することにより、カワウの繁殖活動に積極的な関与によりカワウの繁殖を抑制する。
2.実施要領
(1)実施の場所:竹生島の大型コロニー
(2)実施の時期:春および秋の営巣活動が活発な時期
(3)細部実施要領
 ア.実施時期は専従の観察員の報告に基づき決定する。
 イ.観察員は大部分のカワウの営巣から産卵し抱卵の始まりを確認し報告する。
 ウ.抱卵の開始時からコロニーへの宿営を開始する。
 エ.宿営の期間は1週間から2週間とする。
 オ.大部分の巣において、抱卵が開始されたことを確認したら騒音等により、抱卵を妨害し、孵化を抑制する。
 カ.効果を確認しつつ「おどし銃」等により、親鳥の巣からの飛び立ちを促し、親鳥が留守の巣を鉤棒等により巣を破壊し抱卵から孵化を妨害する。
3.実施の効果
(1)若鳥の育成を抑制することにより、繁殖力を抑制し、総数の削減に効果がある。
(2)銃器等による殺傷と比較し、経費が削減できる。
(3)自然に近い状態での抑制が可能である。 
繁殖抑制は銃器の使用できない地域における個体数管理手法の一つとして有効であり、その技術として、擬卵への置き換えやドライアイスによる冷却処理等が知られています。御提案いただきました宿営につきましては、カワウの営巣地が急傾斜地である場合が多いこと等により、安全性の観点から現実的に困難であると予想されます。現地の状況に応じて適切な手法を選択して実施することが、効果的な対策につながると考えます。 

 

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