久元喜造委員「持続可能な農業モデルの実現を目指して~循環型資源‟こうべ再生リン”の活用~」(令和4年11月9日)

関西広域連合 久元喜造委員(神戸市長)からのメッセージ

「持続可能な農業モデルの実現を目指して~循環型資源‟こうべ再生リン”の活用~」

 

 

  神戸市長の久元喜造です。

 

  今回は、持続可能な農業モデルを目指す「こうべ再生リン」を活用した取組みをご紹介します。
  神戸市では、2011年度(平成 23 年度)より、下水から肥料の原料である「リン」を回収し、肥料として利用する「こうべ再生リン」の取組みを行っています。下水には私たちのし尿が生活排水として流れ込んでいます。し尿には、もともと食物に含まれていたリンが含まれていますので、そのリンを下水処理の工程で発生する汚泥から回収し、市内でお米や野菜、果物を生産する際の肥料として活用しています。この取組みは、循環型社会の実現をめざすSDGsの観点からも、非常に意義深いものと考えています。
  日本は現状、肥料の原料の多くを輸入に頼っており、農業生産において必要不可欠な肥料原料の一つであるリンについても、その原料のほぼ全量を特定の国から輸入しています。しかしながら、国際情勢の激変の中で肥料原料の価格が高騰しており、わが国の農業に大きな打撃を与えており、まさに、食料安全保障上の重大な危機に面していると言えます。
  現在、神戸市では、年間130トンのリンの回収能力があるにも関わらず、現在利用されているのはわずか25トン程度に留まっています。「こうべ再生リン」がもっと利用されることになれば、循環型社会の実現、農業経営の安定化にもつながりますので、市内の農業者に対する補助を大幅に拡充するなど、その普及に向けた取組みをすすめています。
  全国の下水処理場には、国内の農業において肥料として使用されるリン成分の約2割に相当する量が流入していると言われています。神戸市のこの取組みをモデルケースに、下水由来の再生リンの活用を、食料安全保障に向けた国家的プロジェクトとして推進して頂けるよう、国にも要望を行い、9月9日には、岸田総理より「下水汚泥など未利用資源の利用拡大により、肥料の安定供給を図ること」という方針が示されたところです。
  神戸市はこれからも、「こうべ再生リン」の活用を通じて、関西広域連合の取組み方針でもある地産地消のさらなる推進など循環型社会の実現、ひいては我が国の食料安全保障にも貢献できるよう挑戦を続けていきます。

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