門川大作委員「文化交流、国際交流を促進して世界を平和に」(令和4年10月11日)

関西広域連合 門川大作委員(京都市長)からのメッセージ

「文化交流、国際交流を促進して世界を平和に」

 

 

  京都市長の門川大作です。

 

  京都市では、昭和53年に「世界文化自由都市宣言」を行い、文化を基軸とした都市経営を市民ぐるみで進めてきました。そして、政府に対して文化庁の京都移転を要請し続けてきました。
  この度、オール京都、関西広域連合としての要請、全国の方々のご理解と政府のご英断により、文化庁が機能を強化して移転してまいります。文化で経済を活性化し、日本を元気にする。文化で多様性を認め合い、包摂性のある社会をつくる。そのために京都の果たす役割は大きく、共々に取り組んでいきたいと考えております。

 

  さて、世界文化自由都市とは、「全世界のひとびとが、人種、宗教、社会体制の相違を超えて、平和のうちに、ここに自由につどい、自由な文化交流を行う都市」のことです。この宣言の中で、京都が「世界文化自由都市」という理想に向かって進むことや、“京都は千年の都であったけれども、過去の栄光のみを誇るだけではだめだ。優れた文化を創造し続ける、永久に新しい文化都市でなければならない”ということを誓いました。
  40年前、世界は東西イデオロギー対立の時代でした。そのような中で、現代を見通したかのごとく、「人種、宗教、社会体制の相違」が対立の原因になることを示しつつ、全世界のひとびとがそれらを超えて集う都市を理想として掲げた宣言文に、先人の慧眼を感じます。同時に、いまの世界情勢を鑑みると、この理想の実現がいかに難しいものであるか、そして、その実現が今まさに求められていると痛感しています。

 

  「戦争」の反対語は何でしょうか。それはもちろん「平和」ですが、平和は、訴えるだけでは実現しません。その意味で、「戦争」の反対語は「交流」だと考えています。
  交流とは、国レベルでは外交であり、自治体、市民レベルでは都市外交、市民外交でしょうか。京都市では、昭和33年に提携を結んだパリ市(フランス)をはじめ、キーウ市(ウクライナ)など9つの都市との姉妹都市交流、イスタンブール市(トルコ)など6つの都市とのパートナーシティ交流を重ねています。平成元年には、市民の国際交流の拠点として「国際交流会館」を開館し、市民ぐるみの交流を促進してきました。
  こうした国際交流を豊かにし、その基盤となるものが「文化」と「観光」です。京都市では、宣言の後、我が国の文化行政の中核である文化庁の京都移転を政府に要請し続け、実現を果たしました。また、観光による多様性の理解は国際交流に大きな役割を果たすものであり、外国人観光客の受入環境整備を推進。文化と観光は、21世紀の平和をつくり、それを維持する装置として役割を果たすものであり、SDGsの達成にも貢献するものです。そうした観点からも、文化政策、観光政策を進めていく必要があると考えています。

 

  さらに、「世界文化自由都市宣言」の趣旨の具体化の一つとして、昭和62年に世界の歴史都市とともに「世界歴史都市会議」を初めて開催し、交流を重ねながら、平成6年に「世界歴史都市連盟」を発足しました。現在、世界の65箇国・地域から125都市が加盟しており、4年ごとに行われる会長選挙の結果を踏まえ、この間、一貫して京都市長が会長を務めてきました。
  同連盟では、長い歴史をもつ世界中の都市が集い、ともに都市の課題に向き合うことで絆を深めてきました。平成28年のバートイシュル市(オーストリア)、平成30年のブルサ市(トルコ)、令和3年のカザン市(ロシア)での開催に引き続き、本年11月には、安東市(韓国)で世界歴史都市会議を開催。こうした国際交流の積み重ねが、まさに「人種、宗教、社会体制の相違を超えて」世界の人々との理解を深め合い、戦争の抑止力にもつながっていくものと考えています。

 

  また、京都市は36の大学、短期大学が立地し、15万人の学生が学ぶ「大学のまち・学生のまち京都」です。平成6年には、全国初の大学間連携組織である「京都・大学センター」を設立。平成10年には法人化され、産学公連携のもと、全国初の大学コンソーシアムである「大学コンソーシアム京都」を設立しました。こうした強みを活かしながら、国際交流を促進する取組を進めてきたことで、1万3千人を超える留学生も学んでおられます。

 

  今でこそ、国際交流の動きは徐々に緩和されつつありますが、この間、新型コロナウイルスの感染拡大によって、大きく制限がかかっていました。
  京都市においても、入国制限の影響などにより、留学生をはじめとした外国人住民が減少。大切な国際交流の機会損失というだけでなく、京都市の人口減少率は全国平均より高い水準となっています。このうち、留学生の減少は、入国制限を受け、自国でのオンライン学習を余儀なくされたことも一つの要因と考えています。
  コロナの第7波がようやく落ち着きをみせてきましたが、引き続き、基本的な感染対策の徹底が重要な状況が続くなど、まだまだ逆風下にあります。それでも、1200年を超える悠久の歴史と文化を持つ「大学のまち・学生のまち京都」には、今なお非常に多くの留学生の方に関心を持っていただいています。
  こうした留学生の皆様にぜひ京都にお越しいただき、まち全体が学びの場である京都でのリアルな学びを通じ、国際交流の回復、さらには京都の活性化を進めるためにも、産学官が連携し、平成27年に発足したオール京都による「留学生スタディ京都ネットワーク」を軸に、引き続き、京都への留学生誘致・支援を積極的に進め、京都ならではの文化・経済・学術が融合した好循環の創出に取り組み、京都はもとより、関西の活性化に寄与してまいります。

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