仁坂吉伸広域連合長「北陸新幹線~1日も早い大阪までの全線開業を~」(令和4年10月7日)

関西広域連合 仁坂吉伸広域連合長(和歌山県知事)からのメッセージ

「北陸新幹線~1日も早い大阪までの全線開業を~」

 

  最近は台風や災害など暗いニュースが続いたなか、明るい話題のひとつとして9/23に西九州新幹線(武雄温泉~長崎間)が開業しました。2016年の北海道新幹線開業から6年ぶりとなる新幹線開業は、沿線の地域活性化や交流拡大につながるものと期待しています。
  同様に、関西広域連合としては、「北陸新幹線(敦賀~新大阪間)」の開業を関西経済界とともに大いに期待しているところであり、過去から早期整備にむけ精力的に要望活動を実施しています。特に、私は関西広域連合内で広域インフラ検討会の座長を仰せつかっており、過去においては、関西3時間圏域を可能とするインフラの実現、地域を総合的に活用できる最低限のインフラ整備や自然災害への備えの必要性を柱として、広域交通インフラの基本的考え方を取りまとめてきました。

 

  北陸新幹線は、東京を起点として、長野、上越、富山、金沢、福井等の都市を経由し、京都、大阪へ至る延長約700キロの路線です。このうち、高崎~長野間は平成9年10月に、長野~金沢間は平成27年3月に開業し、現在、金沢~敦賀間の令和5年度末の完成・開業に向けて建設工事が進められています。また、敦賀~新大阪間については、平成29年3月にルートが決定され、現在、(独法)鉄道建設・運輸施設整備支援機構において環境アセスメントの手続きが進められています。
  関西広域連合では東京一極集中の是正と国土の双眼構造の実現を目指していますが、関東圏に比べて関西圏の活力が低迷している要因の一つに、このように国による東京を起点にした新幹線網の優先整備が考えられます。昭和48年に北陸新幹線を含む新幹線の整備計画が決定されました。その計画には東京と大阪を起点にした整備新幹線路線が同じくらいありましたが、その後、東京を中心にした新幹線は、絵に描いた餅ではなく、どんどん優先的に整備されました。そうしたことにより、人や様々な資源の流通がますます東京起点にシフトしています。ようやく整備されつつある北陸新幹線の効果についても、未だ東京を起点としていることから、北陸圏も関東圏に吸い寄せられ、関西圏と北陸圏との関係性が薄まってきています。この状況をリカバリーするためには、北陸新幹線を大阪まで1日も早く繋ぐことが重要です。

 

  北陸新幹線の全線開業は、首都圏と関西圏を日本海側経由で結び、東海道新幹線の代替機能を担うとともに、関西・北陸・山陰・東北をつなぐ日本海国土軸の形成に必要不可欠な国家プロジェクトであり、関西のポテンシャルを引き出す極めて重要なインフラとなります。具体的に期待する効果としては、主に3点考えられます。
  まず1点目は、時間短縮効果です。大阪までの全線開業により、関西圏と北陸・信越圏間の移動時間が大幅に短縮され、各地域での滞在可能時間が増えるとともに、都市間の交流が活発化します。例えば、金沢・新大阪間の移動時間は、1時間20分となり、現行の2時間27分から67分も短縮され、早朝夜間の予定にも日帰り出来る幅が広がります。
  次に2点目は、交流人口の増加です。金沢~長野間の開業により、北陸を訪れる人の数が大幅に増加しました。例えば糸魚川~上越妙高間の乗車人員は約926万人で、開業前の約314万人から概ね3倍になっており、大阪までの全線開業によって、関西と北陸との交流人口の拡大に伴う経済波及効果を期待しています。古くから北陸と関西は結びつきが強い地域でしたが、金沢~長野間の開業以降、北陸3県の高校生の関東への進学志向が高まっているとの調査結果もあり、大阪までの開業が遅れることでこの傾向が更に進んではいけませんので、1日も早い全線開業が必要です。
  最後に3点目として、リダンダンシーの確保です。東京一極集中の危機リスクを分散するとともに、大規模災害への備えとして、高速交通体系の多重化によるリダンダンシーの強化は喫緊の課題です。災害等により東海道新幹線が止まった場合、1日の乗客流動のロスが20万人、経済的なロスが50億円にのぼりますが、全線開業によりこのロスが半減できるとの試算もあります。

 

  このように、北陸新幹線を大阪まで全線開業することが、関西のポテンシャルを引き出すには極めて重要であることから、平成29年度より、関西広域連合、京都府、大阪府、関西経済連合会が主催となり関西一丸となって、「北陸新幹線(敦賀・大阪間)建設促進大会」を東京で開催し、併せて政府・与党・関係省庁への要請活動を実施しています。
  その都度、私も出来うる限り参加し、環境アセスの丁寧かつ迅速な実施や、敦賀~新大阪間の整備に伴う並行在来線は存在しないことの確認などを要望しているところです。
  さらに、特に今年度は、金沢~敦賀間の令和5年度末の完成・開業に向け、福井県知事を筆頭に北陸新幹線建設促進同盟会が促進大会・中央要請の活動を強力に進めており、関西広域連合としてもそれに負けじと北陸新幹線の全線開業に向けた更なる機運醸成を図っていこうと考えています。
  そこで、例年の促進大会・中央要請の活動のほか、11/25に大阪府立国際会議場において、関西圏域にお住まいの皆様と1日も早い大阪までの全線開業への機運の醸成を図るべくシンポジウムを開催する予定です。北陸新幹線の進捗状況をはじめ、そうそうたる識者の方々をお呼びし、基調講演・トークセッションを予定しています。もちろんオンラインでの同時開催も実施しますので、是非ご参加頂けたらと思います。
  北陸新幹線の大阪までの全線開業に向けて、これからなお一層、みなさんとともに盛り上げていきたいと思います。

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