仁坂吉伸広域連合長「関西広域連合の今後のあり方」(令和4年6月22日)

関西広域連合 仁坂吉伸広域連合長(和歌山県知事)からのメッセージ

「関西広域連合の今後のあり方」

 

  このメッセージは、関西広域連合のそれですから、各県の施策紹介ではなくて、広域連合全体にかかわることを述べたほうが良いと私は思いますので、そのように書かせてもらいます。

 

  関西広域連合も今年発足後12年目を迎えました。道州制への待望論が今よりももっとずっと強かった時代に、そうは言っても都道府県の持つ意義を喪失するようなことはあってはならないという意見も踏まえ、都道府県の制度は残しつつ皆で協力して新しい広域自治体を作ろうという意図のもとに平成6年6月に改正された地方自治法上の「広域連合」の制度を使って作り上げたのが関西広域連合です。
  私の解釈だと、広域連合は三つの目論見があったと思います。一つは府県市の仕事を廃して連合に統合するもの。ミニミニ版の道州制といってもよい部分です。ただし、なかなか府県市から切り離すのは抵抗もありますから、一部の資格試験の共同実施に限られています。二つ目は協力です。これは私は大きな成果があったと思います。ドクターヘリの統合運用などが典型ですが、東日本大震災の際に井戸連合長(当時)が提唱したカウンターパート方式による被災地応援は、たいへん高く評価されました。また、大阪・関西万博や関西ワールドマスターズゲームズなども、この関西広域連合が成立していなければなかなか実現しなかったのではないかと思うのであります。また、原子力政策や原発の是非、放射能汚染の話など、各県だけではそう簡単にはかなえられなかったと思われる政府との対話が関西広域連合が存在したが故にすべての構成府県市が参加して行えたということなどもその意義を表したものだと私は思います。同様なことはたくさんあり、かつてのこの欄で紹介したのですが、ざっと数えてみると23にも上りました。(「ONE関西」(令和3年10月14日掲載)参照)
  三つ目は関西広域連合発足時大変勢いのあった意見に沿った中央省庁の地方支分局、出先機関の関西広域連合への移管の受け皿となるというものでした。これら出先機関は関西(または近畿)全体を対象地域として、大阪等に置かれており、単独の府県市が自分のところに移管してほしいといっても、テリトリーが他県にも跨っているためできるはずがないという点に着目して、関西広域連合にならできるだろうという議論だったのです。民主党政権がこれには熱心で、3つの機関を移すという法案の閣議決定まで行ったのですが、政権交代とともにすっかり忘れられたようになっていました。私は実は中央省庁そのものの移転は大歓迎だけれど、その出先の支分局等をもらっても、もらったほうが中央省庁の手先というか支配下になるだけだから、面白くないという意見なのですが、当時私の知事選挙中に方針が決まったので、身内が足を引っ張るようなことは一切しませんでした。しかし、このことは、残念がる人が広域連合の内外にも大勢いて、広域連合の地方分権についての達成度が不十分だという意見の主な原因となっていたのです。とは言え、政権交代後の自公政権には、このことを蒸しかえしても、全く歯が立ちません。

 

  こういう事態を前に、私はこれからの広域連合を考えるいい機会だと思いました。とりわけ、地方分権という大事なテーマについて、いつまでも出先機関の移転しか考えないというのはどうかとも思いましたので、関西広域連合がこれから目指すべき地方分権のあり方を考え直してみようと思ったのです。もちろん自分たち自身で考えないといけませんが、この道の達人のような人に虚心坦懐に意見を聞いてみようと思いました。その際大勢の識者に集まってもらって、研究会のような場を作り、提言をまとめてもらうというようなことを我々はよくするのですが、そうすると、どうしても原案を書く我々のスタッフの意向が強くなり、識者の持つとんがった意見が丸められてしまうおそれもあります。そこで、地方分権について立派な識者を選んだ上で、その方々にとんがっていてもいいから思いのたけを書いてもらって、それをまずまとめて提言集を作り、それをもとにして我々関西広域連合の構成員が今後のあり方をじっくり考えていこうではないかと考えたのです。
  そこで出来上がったのが提言・意見集「未来の希望を担う関西広域連合へ」です。その提言・意見集をもとに5月19日、執筆した識者との意見交換が行われました。
  私は事前に識者の方々の提言集のフルテキストを読んでいたのですが、議論を聞いて改めて私自身も大変触発されましたし、その思いは他の構成府県市のトップすなわち関西広域連合の各委員にとっても同じだったろうと思っています。
  改めて識者の方々にお礼を申し上げたいと思います。
  識者の意見は、私が当初お願いしていたような関西広域連合が目指すべきこれからの地方分権のあり方というのもありましたが、どちらかというとこれからの関西広域連合のあり方についてのものが多かったと思います。発足後12年目を迎えた今後の関西広域連合のバージョンアップというものでした。各識者のご提言の本文は関西広域連合HP(https://www.kouiki-kansai.jp/koikirengo/jisijimu/kengenijyo/collection2022.html)にて公開しています。前記の意見交換の時も各委員は少々意見を申し述べたりもしましたが、識者の方々のご厚意にこたえていくためにも、これから連合の部内で意見を深めていきたいと考えています。

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