久元喜造委員「里山・農村地域の活性化に向けた取組み」(令和4年6月10日)

関西広域連合 久元喜造委員(神戸市長)からのメッセージ

「里山・農村地域の活性化に向けた取組み」

 

 

  神戸市長の久元喜造です。

 

  神戸市は海に面したまちというイメージがあるかもしれませんが、北区や西区には里山・農村地域が広がっており、関西有数の農業都市でもあります。広大な田畑や山林と共に茅葺民家や瓦葺民家が点在する、市街地とは異なる魅力を持った地域であり、首都圏からの移住・定住の受皿になる可能性を秘めています。一方で、全国の農村地域がそうであるように、農村人口の減少や農業従事者の高齢化が進んでいます。このような状況が進むと、耕作放棄地が増え、里山やため池などの農村環境を維持することも難しくなってしまいます。
  そこで神戸市では、都心に隣接する神戸ならではの里山・農村を活かした持続可能な農業と快適な里山暮らしを実現するための取組みを進めています。
  ひとつ目は、農業に新規参入しやすい制度の創設です。コロナ禍による価値観の多様化もあり、里山暮らしや農業への関心が高まっていますが、これまで農業に参入するには研修機関等で1年以上、計1,200時間の研修に専念しなければなりませんでした。そこで、働きながらでも研修を受講できるよう計100時間程度に短縮し、小規模な農地を借りて農業に取り組むことができる「神戸ネクストファーマー制度」を立ち上げました。2年間の営農と適切な農地管理を行えば、専業農家として本格的な営農を開始することもできます。
  次に、里山エリアへの移住や起業の促進に向けた規制緩和と地域における既存ストックの活用です。現在は、例えば住宅をレストランに転換するといった既存建築物の用途変更を、集落に住んでいない方でもできるようにするための規制緩和を進めています。また、空き家を改修して移住したいという方と、空き家の所有者の間に入ってマッチングを行う里山・農村版「空き家おこし協力隊」を創設し、活動を開始したところです。
  このほかにも、放置竹林によって荒れてしまった休耕田の再利用や、以前にもご紹介した淡水域での水草を利用したブルーカーボンの実証実験など、SDGsの達成にもつながる里地・里山保全の取り組みをNPO法人や大学生のみなさんと一緒に進めています。まちの将来を担う若い世代が、里地・里山の再生活動に積極的に参画してくださっていることは大変頼もしいことです。
本市のみならず、わが国にとっての貴重な財産である里山・農村地域を後世につないでいくため、これからも市民や事業者とともに挑戦を続けていきます。

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