西脇隆俊副広域連合長「第2期関西観光・文化振興計画(案)について ~テーマ別観光~」(令和4年3月3日)

関西広域連合 西脇隆俊副広域連合長(京都府知事)からのメッセージ

「第2期関西観光・文化振興計画(案)について  ~テーマ別観光~」

 

  副広域連合長、京都府知事の西脇隆俊です。
  新型コロナウイルス感染症については、これまで府県市民の皆様、事業者の皆様には基本的な感染防止対策などに御協力いただいているところであり、改めて厚くお礼申し上げます。また、医療現場の第一線で御奮闘いただいております医療従事者の皆様に心から感謝申し上げます。

  新型コロナの感染拡大により、私が担当しております「観光」は、インバウンドが皆無になり、また、国内観光客も大幅に減少いたしました。宿泊、交通、飲食などいわゆる観光事業者だけでなく、農林水産業、小売業なども大きな影響を受けており、「観光」の持つ波及効果の大きさを再認識しております。
  こうした厳しい状況の中、令和4年3月で現行の「関西観光・文化振興計画」の計画期間が終了することから、令和4年度からの5年間を計画期間とする「第2期」の計画案を3月5日開催の関西広域連合議会に上程する予定をしております。

  現行計画の期間内には、日本を訪問する外国人旅行者数が1,000万人から3,000万人以上に増加し、インバウンド市場が急激に拡大いたしました。その間、広域観光周遊ルートづくりや関西広域のDMOである「関西観光本部」を設置し、戦略的なプロモーション活動を実施した結果、関西への訪問率は41.4%と関東に次いで高く、インバウンド拡大の経済効果を関西に取り込むことができました。一方で、急激な拡大が大阪、京都など一部の地域に観光客が過度に集中する状況となり、計画策定委員の皆様からはコロナ前の状況に戻すのではなく、関西各地への周遊を促し、持続性の高い観光を目指すべきというご意見をいただきました。
  インバウンド需要については、本格的な回復にはまだ時間を要すると見込まれますが、UNWTO(国連世界観光機関)の予測にもありますように、インバウンドは必ず復活すると考えており、「第2期」の計画案では、「文化」や「自然」など関西各地の多様な魅力を活かした周遊に一層力を入れていくこととしております。
  その戦略の一つとして、「テーマ別観光」を取り上げていますが、これは、「関西の多種多様な資源を共通のテーマで結び、各地を巡るもの」であり、観光地の魅力の向上や周遊の促進につなげるものです。

  例えば、関西には全国の約4割に当たる約6万の古墳があります。古墳はそれ自体がその時代の人々の生活や祀られた権力者等の国づくりへの関わり、当時の土木技術などを現代に伝える生きた史料で、非常に魅力に富んだ歴史遺産であります。
  京都府の向日市にある五塚原(いつかはら)古墳は、卑弥呼の墓との説もある奈良の箸墓古墳と墳丘の造り方が同じだとか、長岡京市の今里大塚(いまざとおおつか)古墳は、奈良の石舞台古墳と石室の類似性があるなど、他地域との結びつきを見いだすことができます。私は古代史が好きで、先に堺市で開催された「関西古墳サミット」にも出席させていただきましたが、大陸から瀬戸内海を通って日本にやってきた人々が、海から仁徳天皇陵を見た時には、大いに驚かれただろうとか、実は京都府の丹後地域にも、畿内の古墳と引けを取らない大きな古墳があるのですが、日本海ルートで到着した人々が、同じように丹後の古墳を見て、どのように感じたのだろうかとか、大変浪漫をかき立てられます。
  令和4年度中にはいよいよ文化庁が関西に移転します。関西のこうした古墳群の保全とともに、活用に向けた機運も高まると思いますので、わかりやすいストーリーでつないで、観光振興に結びつけたいと思っています。

  また、2025年の大阪・関西万博の会場となる夢洲は淀川の河口に位置しますが、琵琶湖から都のあった京都、商都大阪へと淀川で結ばれた水運が、関西の発展を大きく支えてきました。また、北前船により、大阪湾岸から瀬戸内、日本海沿岸、北海道に至るまで水運で結ばれ、寄港地は経済的に潤い、食をはじめとする様々な文化が育まれました。こうした「水運」「舟運」をテーマとした観光も、面白いストーリーが描けると思います。

  御紹介した「テーマ別観光」は戦略の一つにすぎませんが、インバウンドの再開に向け、府県域を超え、民間事業者の皆様とも力を合わせて準備を進め、ポストコロナを見据えた「持続可能な観光」を目指してまいりますので、お力添えをよろしくお願いいたします。

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