門川大作委員「感染拡大防止策の徹底と 集団での学びの場の保障の両立」(令和3年9月8日)

関西広域連合 門川大作委員(京都市長)からのメッセージ

「感染拡大防止策の徹底と 集団での学びの場の保障の両立」

 

 

  京都市長の門川大作です。

  本市での2学期・学校再開(小・中・支援学校は8/25から,市立高は8/24から順次) から約半月,社会における「感染爆発」の状況の中,学校現場,教育委員会,保健所等,緊張感溢れる日々です。関西の各府県市でも懸命なご尽力と拝察。本市でも保護者と連携した日々の児童生徒の健康観察体制,一人でも陽性者が確認された時の大規模なPCR検査の実施と速やかな学級閉鎖など感染防止策を徹底。昼夜を問わずご献身の関係者に頭が下がります。学級閉鎖や様々な事情で在宅学習の場合には タブレット端末や本市独自の学習教材を活用し,学びを保障。この2つの「徹底」と「両立」にこだわりを持って取り組んでもらっています。

  学校の一斉休校は,子どもの世界「だけ」を,ロックダウンすることです。その前に,大人社会でも徹底すべきことが沢山あります。今,孤立,貧困,虐待,経済格差など,様々な「社会的な課題」が顕在化する状況にあって,孤立を防ぐ手立てが重要であり,また,家庭の養育体制にも格差があり,学習や規則正しい生活習慣,そして給食による食事の保障,家庭内感染の防止も含めて,学校を中心としたネットワークで,子どもたち,そして各家庭を支えている現状があります。教育は貧困の連鎖を断ち切る希望だと言われますが,このネットワークを,一斉休校というロックダウンで断ち切ってしまうことは,子どもたちの学びを,ひいては将来を分断することにも繋がると考えます。

  こうした下,昨年度の一斉休校期間にあっても,京都市では,家庭学習のための全市統一の学習教材等の作成,各学校での工夫を凝らしたオンラインコンテンツの作成・提供,地元KBSテレビ・京都新聞との協働による授業番組の放送・特別紙面の発行等を行うとともに,保護者の就労等により家庭で過ごすことができない子どものための学校での特例預り(毎日1万人程度)等を実施し続け,更に,6月以降の学校再開後は,1日7時間授業や補習等を行う一方で,子どもたちにとってかけがえのない修学旅行は,小・中学校全てで実施,文化祭等も全校で実施するなど,子どもたちのためにとの一心で,教職員がPTA等の理解の下に,創意工夫を凝らして,教育活動をやり切っていただきました。

  そして,この度文科省から発表された,全国学力・学習状況調査において,本市の小学校が3年前に続いて政令指定都市1位となり,中学校でも,約2割の生徒が私学進学(私学発祥の地・京都は私学教育が盛んで,政令市最高の私学就学率,文科省の発表には私学は除外されている。)している中で,47の都道府県比較で9位相当と,引き続き,小・中とも大変良好な結果に。昨年来の大変な苦境の中で,学ぶ姿勢を大切に努力してきた子どもたち,子どもたちの「学びを止めない」ために,感染拡大防止との両立に全力で取り組んできた現場の教職員に,そして,そうした学校を支えてくださった保護者・地域の皆様に心から敬意と感謝。

  どんな困難な時代も,「一人一人の子どもを徹底的に大切にする」という本市が長年にわたり大切にしてきた教育理念の下,子どもたちの直面する課題と向き合い,その克服に向けて培ってきた教育実践~教職員の指導力向上の取組(各教師の週間指導計画や週案の作成はじめ教職員の自発性を喚起した研究・研修の取組),9年間の学びと育ちを支える小中一貫教育,保護者・地域の参画のもと教育活動を支援する「学校運営協議会」,自学自習の定着を図るための,「予習→確認テスト→復習」を1サイクルとした「小中一貫学習プログラム」(小3~中3まで全15回),伝統文化体験,長期宿泊の下での自然体験,学校での学びと社会での生活を繋げる「生き方探究教育」,市民ぐるみで進めるしなやかな道徳教育等々~,そしてそれらを支援する京都市独自の教職員加配(中学3年での30人学級等)などの積み重ねが,コロナ禍という未曽有の時代にあっても,決して折れない,レジリエントな学校へとつながっていると感じています。同時に解決すべき課題も山積しております。

  「首長は,教育の内容に口出しはしない。」私は,市長就任時に,そう教育委員会に対して宣言。その一方で,条件整備は首長の責任であり,厳しい財政状況ですが,市会のご理解を得て,スクールサポートスタッフの全校配置など,感染対策に奮闘する学校と教職員を支援しています。現場では様々な課題も生じますが,それを解決する知恵もまた現場にあります。今後とも,全力で現場の実践を支援します。

  本市の稲田新吾教育長は「GIGAスクール構想の一人一台端末の活用を,子どもたちの学びの充実に,ひいては子どもの人権の保障の充実に繋げる」と決意表明しています。公立学校が,しっかりと子どもたちの学びを保障し,学校ならではの学びを通して,子どもたちに確かな学力と,多様性や包摂性の精神を育むことが,まさにSDGsの実現に向けた基盤であり,体験的・協働的な学びとICTを活用した学びのハイブリッド型での新たな時代の教育の創造が求められます。

  関西の各府県市においても,コロナ禍の下,創意工夫に満ちた教育実践を展開されており,教育関係者の交流を深め共に学び合いたいと思います。

  これからも「誰一人取り残さない」という確固たる信念で,一人一人の子どもに最適な学びを保障しながら,困りを抱える子どもへのきめ細かな支援の充実を進め,教育こそが,社会の発展を支えるとの気概と責任感を地域・保護者の皆さんと共有し,取り組んで参ります。

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