飯泉嘉門委員「デジタルが変える未来!『徳島DX』の取組み」(令和3年8月31日)

関西広域連合 飯泉嘉門委員(徳島県知事)からのメッセージ


「デジタルが変える未来!『徳島DX』の取組み」

 

  皆さん、こんにちは。徳島県知事、そして全国知事会会長の飯泉嘉門です。

  昨年来のコロナ禍において、我が国におけるデジタル化の遅れが明らかとなり、また、「新しい生活様式」を実践するため、テレワークやワーケーションへのニーズが大きく拡大したことを背景として、社会全体を早急にデジタル化することが強く求められております。
  こうした中、いよいよ本年9月1日には「デジタル庁」が創設され、国を挙げたデジタル社会形成に向けた動きが加速化することとなります。

  関西広域連合では、令和2年11月に発出した「関西新時代宣言」において、次の10年間に目指す姿として、Beyond 5Gを見据えた「デジタル化の推進」、「世界のネットワーク拠点”関西”」を掲げ、ポストコロナ時代にふさわしい新たなデジタル社会づくりを強力に推進しているところです。

  そこで今回は、来るべきデジタル社会を徳島が牽引すべく、これまで進めてきた「徳島DX」の取組みを紹介させていただきます。

  少し話は遡りますが、徳島県では、地上デジタル放送への移行の際、アナログ放送時には10チャンネル視聴できたものが、地上デジタル放送では放送法のとおり3チャンネルしか視聴できなくなるという大ピンチが到来しました。
  その対応として、「ピンチをチャンス」に、全家庭をケーブルテレビで結ぶ「全県CATV網構想」を打ち出し、地上波のデジタル化への対応により、後発の利で、結果として各家庭に光ファイバーが行き渡る全国屈指の光ブロードバンド環境の構築につながり、現在のCATV世帯普及率は、「9年連続で全国1位」となっています。

  この強みを生かし、本県発祥で、その数が総務省統計にまでなった「サテライトオフィス」の誘致、都市部と徳島を行き来して働く子育て世帯をサポートする「デュアルスクール」の展開、休暇と仕事を組み合わせた「ワーケーション徳島モデル」の創出など、コロナ禍にも対応したニューノーマルな働き方を実践してまいりました。

  また、全国知事会から総理に直接提言し実現した、義務教育段階を対象に一人一台端末を配備する国の「GIGAスクール構想」を一歩進め、本県では、全国に先駆け、高等学校段階の県立、私立、専修学校まで対象を拡大し、小中高一貫した一人一台タブレット端末の実装を実現しました。

  さらに、行政内部事務の電子化やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入による会計事務の自動化・効率化など、全国に先駆け、高度情報基盤の整備や先端技術の導入を積極的に進めております。平成30年に導入した出納業務では、何と「96.2%」も作業時間が短縮でき、現在、全庁導入を進めているところです。

  そして、次に紹介させていただくのは、「ローカル5G」ネットワーク網の整備です。
  昨年、商用化された第五世代の移動通信システム5Gは、「超高速大容量、超低遅延、多数同時接続」を可能とし、「Society5.0」の実現に向けた基幹インフラと位置づけられておりますが、国の方針として運用開始は大都市部から順に進められ、徳島をはじめとする地方において、5Gの利便が享受できるまでには長い時間を要することが想定されました。

  そこで、全国知事会及び本県では、「地方への5G導入促進」について政策提言を行い、総務省において、自治体等が地域のニーズに応じて自らの施設でアンテナを立て、柔軟に構築できる「ローカル5G免許制度」が創設されました。
  徳島県では、令和2年3月に全国の自治体で初めてとなるローカル5G基地局の予備免許を取得、さらに、工場や農場等の広範囲で通信可能となる使い勝手のよい「サブ6」免許も取得し、無線基地局の実装を県内11箇所へ拡大するとともに、医療、農業、防災といった分野の課題解決に向け、取り組んでおります。

  具体的には、医療分野において、県立三好病院に設置した、人間の目の解析度を超える超高画質の8Kスーパーハイビジョン内視鏡と、県立中央病院をローカル5Gネットワークで接続し、遠く離れた病院間で8Kの手術映像を共有する全国初の実証事業を本年9月から開始することとしています。今後は、「徳島医療コンソーシアム」15病院を結ぶネットワークへと発展させ、専門医による遠隔診断の実現をはじめ、「スマート医療」の実装を加速していきます。
  また、農業分野においては、県立農林水産総合技術支援センターを農業分野におけるDX実現に向けた実証フィールドとして、スマートグラスによるリモート技術指導をはじめ、未来志向の「スマート農業」の実装にも取り組んでおります。

  さて、世界は今、「5G」の先にある次世代通信インフラ「Beyond 5G」に向かって進んでいます。本県では、国の「地方大学・地域産業創生事業」に採択された、徳島大学を中心とする「次世代ひかりトクシマ」研究体制のもと、Beyond 5Gの通信基盤となる「テラヘルツ」の研究を進めています。
  「Beyond 5G Ready」に向けて、マイルストーンとなる2025年の大阪・関西万博を絶好のショーケースとして、日本の得意分野を徹底的に伸ばし、強みである技術力を世界にアピールするため、関西広域連合が一丸となって取り組んでまいります。

  結びに、徳島県知事として、関西広域連合の一員として、ローカル5G利活用モデルをはじめとする「未来技術」の実装を、府県市民の皆様が目に見える形で具現化し、高齢者や障がい者など「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル社会」を実現すべく、積極果敢にチャレンジしてまいります。

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