仁坂吉伸広域連合長「井戸関西広域連合長に栄光あれ」(令和3年7月9日)

関西広域連合 仁坂吉伸広域連合長(和歌山県知事)からのメッセージ

 

「井戸関西広域連合長に栄光あれ」

 

  6月26日に開かれた関西広域連合議会においても、井戸敏三前関西広域連合長に対する称賛の声が多くの議員から上がり、井戸前連合長に対する高い評価がうかがえました。私は関西広域連合の発足以来、副連合長として井戸連合長に10年近くお勤めし、井戸連合長をお支えしてきましたが、その「副将」から見ても井戸さんのリーダーとしての識見、行動力、そして関西広域連合への献身には、例えようもない素晴らしいものがあったと思います。井戸さんという人がいなかったら、関西広域連合は生まれてもいないし、10年も続かなかったものと思います。

 

  関西広域連合が発足した時、世は地方分権、地方公共団体の在り方をめぐって大揺れでありました。もともと、関西経済連合会など財界は、現状の都道府県の枠組みは小さすぎて不都合が多いので道州として再編すべきだという意見でしたし、それに堺屋太一さんのような論客や一部の有力政治家がこれを唱導されました。また、世の中の閉塞感を打破するために、制度をガラガラポンした方がよいという風も国民の間に吹き、それに敏感な時の政権政党や一部の首長さんがこれをリードしていました。私も明治の頃の時間距離と今の時間距離は大いに違うのだから、道州制の流れは不可避ではないかと思っていて、そう発言をしていましたが、一方では現在の都道府県があるからこそ、かろうじて守られている地方の住民の幸せをどうやって守るのだという解がないうちは、後は野となれ山となれのような対応はできないと思っていました。そのためには、道州を本当に実現しようとするのであれば、道州間の行政と財政の調整とともに、道州内の行政と財政の調整メカニズムを同時に実現しなければ、地方または田舎は報われないと言っていました。

 

  そうした中で井戸さんは、都道府県は残しつつ、統合、協力を進めうる広域連合の制度に着目し、これを実現することに舵をきられたのであります。私はこの動きをサポートしましたが、和歌山県のような関西の地方部の住民にとっては、人口の多い大阪などの「大県」に多数の力で一方的に振り回されてはたまらないというセンチメントが強いことを訴えて、現行のような意思決定メカニズムを井戸さんに了承していただき、そのラインで井戸さんにリーダーシップを発揮していただいたのです。

 

  関西広域連合発足後も、その運営は生易しいものではありませんでした。関西広域連合の在り方についても現行制度を恒久的なものと考える見方と道州制への橋渡しという過渡的なものとみる考え方がありましたし、各府県のリーダーも、当然のことながら一家言のある猛者がそろっていました。その中で、井戸さんは、時には異なる意見の知事の間の意見調整を図り、本部事務局を強力に指導し、さらに独自の大変建設的なアイデアを出して、皆を引っ張って行って下さいました。
  その例はものすごくたくさんありますが、一つだけ挙げよといわれたら、東日本大震災が起きた時の間髪を入れぬ我々知事市長の非常招集と、カウンターパート方式による主要被災3県への密着支援の提唱でした。
  その他にも細部まで徹底的にグリップしておられるあの多忙な兵庫県政をかくも見事にこなされながら、関西全体の問題についてありとあらゆることをリードしていかれる井戸さんの姿にいつも圧倒され、かつ、リードされていく一種の快さを私は味わっておりました。

 

  その井戸さんからお話があったのは昨年の秋でありまして、井戸さんは今期限りで兵庫県知事を辞することとしていて、近くそれを公表するので、そうした人間が11月に行われる次の選挙で連合長に選ばれることは筋が通らない、したがって、君が後を襲ってくれというものでした。私は、まず知事の任期いっぱいはそのまま連合長もお務めになられてはと思いましたが、確かに井戸さんのおっしゃるタイミング論もその通りなので、他の方々にも色々と相談申し上げた結果、井戸さんに従うことにしました。
  こうして連合長として、一歩でも井戸さんに近づこう、また、井戸さんが守り育ててきた関西広域連合を汚すようなことはするまいと努力はしているつもりですが、中々及ばぬことが多々あって呻吟をしています。ただその時でも、「広域連合の委員として」とはおっしゃりながら、井戸さんは本当に必要なことはどんどんアドバイスして下さり、後ではそれがいかに的確であるかがよく分かるということが再三であります。

 

  今回の、関西広域連合議会における多くの議員の賛辞も、おそらくそのような井戸さんの御献身をよくお分かりくださっているからこそのものであったと私は思います。

 

  7月31日をもって井戸さんは兵庫県知事を、そして関西広域連合委員をお辞めになります。井戸なき関西広域連合をどうやって維持、発展させていくか、私の責任はとてつもなく重いなあと実感しているところです。しかし、井戸さんは井戸さんです。別にいなくなるわけではありません。おそらく、私が力及ばない時があれば、必ず的確なアドバイスをして助けてくださるに相違ないと、虫の良い期待をしております。

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