飯泉嘉門委員「新次元の消費者行政・消費者教育の取組み」(令和3年6月4日)

関西広域連合 飯泉嘉門委員(徳島県知事)からのメッセージ


「新次元の消費者行政・消費者教育の取組み」

 

  皆さん、こんにちは。徳島県知事、そして全国知事会会長の飯泉嘉門です。

  今回のコロナ禍でも明らかになったように、我が国が持続的に発展するためには、関西はもとより全国各地が、感染症や自然災害の脅威にも強くしなやかに対応し持続的に成長できる「新次元の分散型国土」を形成することが不可欠となっています。


  関西広域連合では、私が副委員長を務める「政府機関等対策委員会」において、個性豊かで活力に満ちた関西を実現するため、政府機関等の地方移転に向けた取組みを進めています。これまでに、文化庁の京都への全面的な移転と地域文化創生本部の設置、総務省統計局「統計データ利活用センター」の和歌山県への設置のほか、複数の国の研究機関等の移転が決まりました。ここまで成果を挙げられたのは、全国を見回しても関西広域連合エリアのみです。

  そこで今回は、関西広域連合の一員として徳島県において取り組んでいる「消費者庁の徳島移転」について紹介させていただきます。

  「人口減少の克服」や「東京一極集中の是正」のため、徳島県から「消費者庁の徳島への移転」をいち早く国に対し提案したところ、平成29年7月24日、消費者庁により「消費者行政新未来創造オフィス」が徳島県庁に設置され、本県を「実証フィールド」とした3年次にわたるモデルプロジェクトが、消費者庁と本県との連携のもとで展開されました。

  まずは、民法改正に伴う「成年年齢引下げ」を見据え、消費者庁作成の高校生向け消費者教育教材「社会への扉」を活用した授業を徳島県内全高校等で実施し、その効果の検証を踏まえた消費者庁、法務省、文部科学省そして金融庁4省庁の「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」が策定され、早速実行に移されました。
  また、全国初の試みとして、高齢者や障がい者等の消費者被害を防止するための「見守りネットワーク」を徳島県内全市町村に設置しました。さらに、令和元年9月、消費者庁との共催により、日本初となる「G20消費者政策国際会合」を徳島県で開催し、38ヵ国・地域、国際機関をはじめ約300名の皆様をお迎えしました。併せて、関西広域連合においては、「政府機関等地方移転推進フォーラム」や「サステナブル経営推進セミナー」の開催など、消費者庁と連携した事業を推進しております。

  こうした取組が高く評価され、令和2年7月30日、国の本庁機能である恒常的拠点「消費者庁新未来創造戦略本部」が徳島県庁に開設されました。戦略本部には「国際消費者政策研究センター」が新設され、「消費者政策の研究」や「新たな国際業務」の拠点としても、本格的にスタートしたところです。

  これら一連のチャレンジにより、国の本庁機能を有する政府機関が、明治開闢以来初めて東京の霞ヶ関を離れ、徳島に開設されたことは、東京一極集中の是正に向けた大きな一歩であるとともに、「日本の新しい働き方改革」でもあり、「統治機構のあり方」にも一大変革をもたらす、画期的な出来事と言えます。
  戦略本部開設後も、「SNSを活用した消費生活相談の実証実験」や、本県独自に高等学校段階も対象とした「徳島県GIGAスクール構想」で活用する「消費者啓発用のデジタル教材の開発」など、デジタル化、DXに対応した新しい消費者施策を推進しています。また、「G20消費者政策国際会合」のレガシーを継承し、コロナ禍におけるグローバル化に対応するため、「とくしま国際消費者フォーラム2020」を開催し、イギリス、アメリカ、フィリピンなど世界5ヵ国のエシカルリーダーのメッセージを昨年11月からオンデマンド配信しています。
  https://www.pref.tokushima.lg.jp/world.consumer.forum/

  さらに、本年3月26日には、エシカル消費の普及を推進するため、全国の高校生等が日頃の取組成果を発表する「エシカル甲子園2020」を昨年に引き続き開催し、今回のテーマである「私たちが創る持続可能な社会、そして今できること」のとおり、コロナ禍にあっても逆境をバネに大きく飛躍する若者たちの挑戦を全国に発信することができました。今後とも、関西の地が、アジアはじめ「世界の消費者政策の中心」となるよう、戦略本部と連携して、先駆的な消費者行政・消費者教育を推進して参ります。

  このたびのコロナ禍をきっかけに、テレワーク・リモートワークが急速に普及し、「それなら職場は、東京にある必要はないんじゃない?」という発想が若い世代を中心に広がり、地方回帰・地方移住の気運が高まりを見せてきました。同じように「それなら官庁だって、霞ヶ関にある必要はないんじゃない?」という想いが、「政府機関の地方移転」の発想の原点にあります。こうした状況の変化による地方回帰の追い風に乗って、「新次元の分散型国土形成」にしっかりと取り組んで参ります。

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