久元喜造委員「新型コロナウイルス感染症への対応」(令和3年3月26日)

関西広域連合 久元喜造委員(神戸市長)からのメッセージ

  関西広域連合で広域防災副担当を務めております、神戸市長の久元喜造です。

  1年間以上にわたって、新型コロナウイルス感染症への対応が続いていますが、思い起こせば今から12年前の2009年5月、神戸において我が国初の新型インフルエンザの患者が確認されました。
  その未知の感染症への対応や教訓をもとに、関西広域連合では平成26年に広域での情報共有やメッセージ発信等の仕組みを盛り込んだ「関西防災・減災プラン感染症対策編(新型インフルエンザ等)」を策定しました。この1年間、当時の経験も活かしながら新型コロナウイルス感染症へ対応してまいりました。

  関西が一丸となって感染拡大の防止に努めた結果、京都府・大阪府・兵庫県での緊急事態宣言は解除されましたが、変異株の感染拡大が懸念されています。
  神戸市では、地方衛生研究所である神戸市環境保健研究所において、変異株に感染した患者の早期探知、そして、徹底した積極的疫学調査による感染拡大防止に取り組むためのサーベイランス体制(監視体制)を整えています。市所管の全新規陽性者の検体の約60%の変異株の検査を実施し、さらに、国立感染症研究所が実施しているゲノム解析を環境保健研究所で独自に実施することで、早期に変異株の型(英国型、南アフリカ型、ブラジル型)を確定することができます。変異株の感染状況を把握することは、感染再拡大を防いでいくために大変重要だと考えています。

  また、2020年度秋頃より、国内で初めて今まで別々に記録されていた個人の医療・介護・健診等のデータを個人ごとにまとめ、匿名化のうえ、学術機関による研究利用に積極的に活用するヘルスケアデータ連携システムを構築し、運用を開始しています。このシステムを活用し、九州大学において、新型コロナウイルス感染症が日本の救急搬送の代表と言える心臓発作(狭心症や心筋梗塞)の治療にもたらした影響の研究が行われました。その結果、新型コロナウイルス感染症の流行によって影響を受けたのは、緊急治療が必要ない心臓発作だけで、緊急治療が必要な心臓発作は適切に治療されていたことが確かめられました。
  今後、第3波の分析や新型コロナウイルスワクチンの効果や副反応に関する研究についても実施される予定です。

  これらのように、データに基づく分析を実施し、事実を事実として情報発信をした上で、その事実を踏まえた行動変容というものを皆様に促していくことが、地方自治体にとって重要な役割になってくると考えています。

  こうした神戸市で有する情報や知見を共有するなどし、関西全域で力を合わせ、新型コロナウイルス感染症を克服する社会の構築を進めていきたいと思います。

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