門川大作委員「チューリップの童謡と関西広域連合」(令和3年3月22日)

関西広域連合 門川大作委員(京都市長)からのメッセージ

チューリップの童謡と関西広域連合

  そろそろチューリップの季節を迎え,少しずつ春の気配が感じられるようになってきました。コロナ禍収束への願いと行動を皆さんと共有しつつ,緊張感を持って対策に取り組む日々です。
  私は,チューリップの花と,皆さんもよくご存じの童謡が大好きです。
「さいた  さいた  チューリップの花が♪  ならんだ  ならんだ  あか  しろ  きいろ♪  どの花みても  きれいだな♪」というチューリップの歌からは,素敵な情景が思い浮かびます。
  色が違っていても,その違いを個性として認め,お互いに尊重し合い,きれいに並んで連携し合っている姿。
  私は,まさにこれが関西,そして関西広域連合であり,井戸前広域連合長の「関西は一つ,関西は一つ一つ」というフレーズにも通じるものと思っています。
  首都圏は,時に「東京圏」などとも言われますが,関西は,そうではありません。関西は一極ではなく,それぞれの地域がもつ文化,多様性,強みを活かし合い,お互いに連携し,切磋琢磨することで,関西の発展,そして我が国はもとより,世界の発展と人々の幸せ,平和,「誰一人取り残さない」SDGsの達成に共々に貢献したいと考えています。
  チューリップの花言葉が「思いやり」というのも,そんなイメージに合っていて嬉しいです。

  さて,仁坂広域連合長の発案で始められた「委員メッセージの発信」ですが,各首長からの含蓄のあるメッセージを拝読し,大いに学ばせていただいています。同時に,せっかくの機会ですので,ここを本音で語り合う場とし,お互いがもつ夢,目標,課題意識を,関西広域連合構成団体はもとより,多くの住民の方々と共有することで,様々な社会的課題の解決に向けた一助にできればと思います。

  関西広域連合は設立から10年を迎えました。偉大な10年です。
  これまで関西が一丸となって取り組むことで,文化庁の京都への全面的移転の決定,和歌山県での総務省の「統計データ利活用センター」の設置,徳島県での消費者庁の「消費者庁新未来創造戦略本部」の設置,ワールドマスターズゲームズ2021関西の招致,2025年国際博覧会の大阪・関西への誘致が実現するなど,着実に成果を積み重ねてきました。文化庁の京都への全面的な移転については,国の英断と関係者の御尽力に敬意を表し,その責任の重さを「オール京都」で受け止め,お役に立ちたいと覚悟を新たにしております。
  コロナ禍の下,これまで「普通」だった営みは一変。多くの文化芸術が軒並み活動の場を失いました。あたかも不要不急の象徴であるかのように。しかし,人間が人間らしく生きていくために文化は必要不可欠という認識が,いま広く共有されてきています。
  本市では,昨年4月,いち早く文化芸術への支援を始めましたが,明治維新の都市存亡の危機にも,日本初の公立美術専門学校(現在の市立芸術大学)や地域制の小学校を創設。人を育て,文化の力を磨き,産業を興し,今日に続く京都発展の礎を築いてきました。
  近々,その京都市立芸術大学は京都駅至近に移転。地域や国内外から訪れる方々の交流から新たな文化が生まれ,文化で京都を,関西を,日本を元気に。世界からより尊敬される日本へと共々に努力したいと考えています。

  さて,関西広域連合には大きな成果がある一方で,課題もあります。
  関西広域連合は,もともと「広域連携」に取り組んできた組織がベースとなっていますが,法律に基づく地方自治体として発足した「広域連合」に指定都市が揃って参加することにしたのは,広域連合が国の出先機関を地方に‘丸ごと’移管する受け皿になるためでした。この移管をはじめとする地方分権改革は,未だ実現に至っておらず,議論の高まりも見られません。

  また,少子高齢化,人口減少,地球温暖化,さらにコロナ禍によって,様々な社会的課題が顕在化,加速化し,いま地域社会や行政のあり方自体が厳しく問われています。
  地方分権改革の基本は,基礎自治体重視で,補完性の原則が貫かれなければならないとの認識が共有されています。そして,住民参加を促進し,活発な議論を行うとともに,意思決定を迅速にし,住民ぐるみの地域づくりが広域行政,国政との連携の下に促進されるものでなければなりません。その中で,これは当初からの懸念の1つでしたが,国,府県,市町村という三重の行政組織の枠組みの中に広域連合が加わり,四重行政になってしまうのではないかという指摘がありました。この指摘は,今後も常に意識しなければならないものと考えています。また,行政組織は,ややもすると肥大化しがちです。今一度,広域連合でしかできないことに重点を置き,シンプルな組織と効率的な運営に徹することが重要です。

  加えて,これからのデジタル化時代,IoTの時代に対応するためには,あらゆる会議でオンライン化等を進めることが必要です。先日の議会でも議論されていましたが,議会を含めた会議のオンライン化により,関西広域連合が日本の改革を先導していって欲しいと念願しています。

  こうした課題の解決に向けて,指定都市は,住民に最も身近な基礎自治体として,また,この間の地方分権改革で府県から移譲された職務を担う自治体として,これからもその役割を果たしていきたいです。

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