飯泉嘉門委員「皆さん、こんにちは。徳島県知事、そして全国知事会会長の飯泉嘉門です。」(令和3年3月10日)

関西広域連合 飯泉嘉門委員(徳島県知事)からのメッセージ

  皆さん、こんにちは。徳島県知事、そして全国知事会会長の飯泉嘉門です。

  本年1月29日、仁坂広域連合長のメッセージを皮切りに、各委員が交代でメッセージを配信する取組みがスタートしました。私にとっては、第1回目の配信となりますので、まずは、徳島県の紹介をさせていただきます。

  徳島県は西日本第2の高さを誇る霊峰「剣山」が、古くから山岳信仰の対象として敬われ、四国三郎と称される「吉野川」は、「日本三大暴れ川」の1つとして知られ、その流れは下流に広大な徳島平野を生み、また、「瀬戸内海」「紀伊水道」「太平洋」の「3つの海」を有するなど、豊かな自然と風土に恵まれています。
  特に、吉野川の下流域である肥沃な平野部では、「ジャパンブルー」と称される「藍」の栽培が、古くから盛んに行われ、江戸時代には「阿波25万石、藍50万石」とも言われるほどの経済力を誇り、現在放送中のNHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公「渋沢栄一」に家業である武州藍の生産において「阿波藍と並び称されるまでになりたい!」と言わせるほどで、大きな富を得た商人たちによって「阿波人形浄瑠璃」や「阿波おどり」など、個性豊かな芸術文化を育んでまいりました。

  さらには、1,200年の歴史を有する四国遍路では、「出発の地」となる徳島県が「発心の道場」とされ、おもてなしの心「お接待」が今なお息づいています。この「お接待の文化」が、第一次世界大戦中の「板東俘虜収容所」での地域住民とドイツ人捕虜との「奇跡の交流」に繋がり、1918年6月、帰国に際し、感謝の念をもって、ドイツ人捕虜たちによって演奏された「ベートーヴェン第九」が、アジア初演となりました。
  この史実が、現在の徳島県とドイツ・ニーダーザクセン州との友好交流をもたらし、2018年、「第九初演100周年」を、ドイツの高校生100名をはじめ、3,000名の大合唱団による演奏会で、高らかに世界へ発信しました。

  そして、長年育んできた徳島ならではの「阿波藍」「阿波人形浄瑠璃」「阿波おどり」さらには「第九アジア初演」の「あわ文化4大モチーフ」をテーマに、2007年、2012年と全国初となる2度の「国民文化祭」、我が国最高の文化の祭典を開催し、三浦朱門元文化庁長官からは「文化の救世主・徳島」と称賛をいただいたのです。

  また、去年から今年にかけて放映されたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」では、当初、主役を「三好長慶」と思われた方も多かったのでは?織田信長に先んじた「戦国時代、最初の天下人」と言われ、海外の文化や思想を広く奨励した「三好長慶」は、徳島県三好市三野町芝生(しぼう)の出身なのです。室町時代、後に応仁の乱を起こす細川氏が、阿波(現在の徳島)の守護であり、応仁の乱後に有力家臣であった三好氏が台頭し、「三好長慶」の時代には、畿内に進出して幕府の実権を握るほどの勢力となったのでした。

  この様に、徳島県は歴史的、文化的に近畿と強く結びついており、また地理的にも「四国と近畿の結節点」にあり、近畿から見ると「四国の玄関口」、四国から見ると「近畿の玄関口」となっています。
  2004年、当初、国からは「ドン・キホーテ」の理想主義と言われ、全く相手にされませんでしたが、国によって作られた経済格差「平成の大関所」と言われた高過ぎる本四高速料金の全国共通料金化を徳島県から提唱し、兵庫県、大阪府、大阪市、神戸市をはじめ10府県市と一致協力して取り組み、着手から10年後となる、2014年4月、ついに本四高速の「全国共通料金制度」が導入されました。

  この成果をさらに発展させるため、徳島県は関西広域連合の「創設時からのチャーターメンバー」として、「広域医療分野」の事務局を担っています。

  広域医療分野では、広域的な救急搬送体制の構築をめざし、「都道府県単位の3次医療圏」を越える新しい概念として、関西全体を「安全・安心の4次医療圏・関西」と位置づけています。
  ドクターヘリ7機体制により、救命効果が高く、後遺症が残りづらい「30分以内」での救急医療提供体制を整備し、管内の相互補完はもとより、全国の災害発生時にも、広域連合管内を複数機で補完し合う「二重・三重のセーフティネット」を構築することで、「緊急時」に、いち早く被災地に駆けつける体制を整えています。
  2016年の熊本地震では、九州に近い西側3機(3府県ヘリ、徳島県ヘリ、兵庫県ヘリ)が現地に駆けつけるとともに、管内に残った東側の3機(和歌山県ヘリ、大阪府ヘリ、京滋ヘリ)が管内全域をカバーしました(鳥取県ヘリは2018年3月から運航開始)。

  また、世界規模で猛威を振るう「新型コロナウイルス感染症」に対し、昨年3月、関西広域連合内に「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置し、(1)医薬品・医療資器材及び看護師・保健師はじめ医療専門人材の「広域的な融通調整」、(2)PCR検査はじめ「検査体制の広域連携」、(3)医療提供体制が逼迫した場合に中等症の方を対象とする「広域的な患者受入体制の連携」といった、「3つの医療連携」を取り決めました。
  これまでに、大阪府への看護師・保健師の派遣や、鳥取県からのサージカルマスク・フェイスシールドの広域支援、大阪府によるPCR検査の検体受入など相互支援を実施しています。

  この動きと軌を一にし、全国知事会においても「新型コロナウイルス緊急対策本部」を設置し、会長である私を本部長に、平井鳥取県知事に本部長代行、西脇京都府知事に副本部長を務めていただき、まさに関西広域連合のメンバーが「中核」となって、新型コロナという「国難」に立ち向かっています。
  また、2月17日からスタートしたワクチンの「医療従事者への先行接種」に先立ち、全国知事会では、2月15日から、平井鳥取県知事をリーダーとして「ワクチン接種特別対策チーム」を立ち上げ、各都道府県の先進事例や課題等を収集・分析し、ベストプラクティスの横展開を図るとともに、「国」とワクチン接種の実施主体である「市区町村、医療機関」との間をしっかりと繋ぐため、「関西広域連合」全構成府県からの「8名」を含む、43都道府県から44名の「リエゾン」を、厚生労働省及び内閣官房に派遣しています。
  3月の第1週からは、全国知事会からの提言により前倒しで実施されることになった「医療従事者への優先接種」、そして4月12日からは「高齢者への優先接種」が始まります。今後とも、国に対しタイムリーに「地方の声」を届けることで、「迅速かつ地方の実情に応じた接種体制」の構築を支援し、前例のない国家的プロジェクト「全国民を対象としたワクチン接種」を国や市区町村としっかり連携して、スムーズに進めてまいります。

  いよいよ3月25日からは、「東京2020オリンピック・パラリンピック」に向けた聖火リレーがスタートし、来年には「ワールドマスターズゲームズ2021関西」が開催されます。
  「WITHコロナ」を乗り越え、「アフターコロナ」へと繋ぐため、「感染拡大の防止」と「社会経済活動の維持」の両立に、構成府県市が一丸となって取り組んでまいります。

  結びに、徳島県知事として、そして関西広域連合の一員として、様々な課題に対し、これからも「一期一会」を大切に、関西2,000万府県市民の皆様の「夢と希望」がかなえらえるよう、「平時、災害時を問わず」積極果敢に取り組んでまいります。

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