三日月大造委員「皆さんこんにちは、滋賀県知事の三日月大造です。」(令和3年2月5日)

関西広域連合 三日月大造委員(滋賀県知事)からのメッセージ

  皆さんこんにちは、滋賀県知事の三日月大造です。

  新広域連合長の仁坂和歌山県知事の発案で、今年から関西広域連合を構成する府県市の知事、市長が交代でメッセージをお届けすることとなりました。どうぞよろしくお願いいたします。

  簡単に経歴等を記し自己紹介させていただきます。
  私は、滋賀県知事としては「2期7年目」です。
  2014年7月に滋賀県知事に就任後、「新しい豊かさ」「健康しが」をテーマに、県民の皆さまとの「対話・共感・協働」の県政をつくろう!と活動してきました。今、コロナ禍を経験しながら、「より良き自治」を追求し、本当の意味での「健康しが」をつくろう!と呼びかけています。
  「京都府生まれ、滋賀県育ち」で、今年50歳になります。
  滋賀県の高校を卒業後、東京の大学に進学。大学卒業後は、大阪に本社があるJR西日本(西日本旅客鉄道株式会社)に就職しました。広島支社で駅員や電車運転士など「鉄道員」として仕事をしました。1995年1月17日の阪神・淡路大震災の直後には、新長田駅や神戸駅で被災直後の駅業務の支援員をしました。崩れ焼けた街並みの光景は、今も心に残っています。
  1999年から2年間は西日本旅客鉄道労働組合中央本部の青年女性委員会委員長(専従役員)として、若い世代や女性労働者の声を経営層や政治に届ける活動に没頭しました。
  会社を退職し、2002年に神奈川県茅ヶ崎市にある松下政経塾(第23期生)に入塾。

  研修活動の後、2003年から4期10年半、滋賀県第3区選出の民主党衆議院議員として活動。野党も与党も経験しました。国会の仕事、政府の仕事、政党の活動など幅広く活動してきたことが血肉となっています。
  2009年からの民主党政権では国土交通大臣政務官、国土交通副大臣を務めさせていただきました。JAL(日本航空)の経営再建、交通基本法の検討、ダム事業の検証など治水政策を担当。立法機関である国会での専門政策は国土・交通政策、都市・住宅政策、観光・文化政策などでした。観光立国推進基本法や交通政策基本法、住生活基本法、水循環基本法はじめ各種法律の制定に取り組むとともに、2011年3月11日の東日本大震災以降は復興立法などにも関わりました。

  歩んできた道に誇りを持っていますが、知事としては異例の経歴だと自覚しています。
  「三日月」という珍しい姓は滋賀県甲賀市に源を有しています。先祖は山の木を切る「杣人(そまびと)」だったと伝わっています。スピーチでは「満月を目指して!」とジョークを添える時があります(苦笑)。仏教を信仰し、菩提寺は明智光秀と同じ天台真盛宗総本山「西教寺」(滋賀県大津市坂本)です。

  前置きが長くなりましたが、はじめに少し、「滋賀県」の今をお話ししたいと思います。
  今冬は、全国的にも記録的な積雪が観測される中、滋賀県の北部におきましても大雪となっており、特に長浜市余呉町では80cmを超える積雪が観測され、地域の方々には大変ご苦労いただいているところです。
  こういった降雪は、県民生活や事業活動に支障をきたす一方で、琵琶湖にとって必要なものでもあります。
  琵琶湖の北湖では、例年、冬に水温が下がると、表層の酸素を含んだ水が湖底まで届く「全層循環」という現象が起こり、琵琶湖の安定した水質や生態系を支えています。私たちはこれを「琵琶湖の深呼吸」と呼んでいます。
  しかしながら、昨年、一昨年は温暖化の進行による暖冬の影響により2年連続で「全層循環」が起こらず、湖底まで酸素を含んだ水が十分に届きませんでした。この結果、底質から栄養塩や金属の溶出が確認されており、水質や生態系への影響を懸念しておりました。
  そのようなことから、今冬の寒冷により「全層循環」が起こることを何より期待しておりましたところ、先日2月1日の滋賀県琵琶湖環境科学研究センターによる調査の結果、約3年ぶりに「全層循環」を確認することができ、ひとまず“ホッと“安堵したところです。
  この3年間の調査等を通じて「琵琶湖」から発せられた気候危機のサインをしっかり受け止め、危機感を持って温暖化対策に取り組んでいこうと考えております。

  さて、「関西広域連合」に話を戻します。
  私は、滋賀県知事に就任した2014年7月から関西広域連合に携わってまいりました。
  初代広域連合長として創設時から10年、関西広域連合を率いてこられた井戸兵庫県知事がいつも述べられた「関西は一つ、関西は一つ一つ」というフレーズ、私も好きです!「ONE(ワン)関西」としてまとまりやチームワークがあり、同時に、それぞれが固有の歴史や個性のある地域・自治体として輝いている姿を大切に、「地方分権改革の突破口を開く」旗手になる広域連合となれるよう、皆さまと力を合わせて努力を積み重ねてまいる所存です。

  関西広域連合では構成団体の長が事務分野ごとに担当委員を受け持つこととしており、私(滋賀県)は「広域環境保全」分野を担当させていただいております。
  豊かな自然とそこで育まれる生態系サービスはすべての基本だと考えます。私たち人間の生命も生存も、社会や経済の持続可能性も、この環境を保全していけるか、にかかっているのではないでしょうか。関西では、上流と下流、水系のつながりの中で、人びとがお互いを思いやりながら暮らしています。環境保全に熱心な人びとが多く住んでいて、先端技術を有し、磨き、環境保全と両立しながら生産・経済活動をしようと努力される企業等が立地しています。「連携と協働」により環境保全を行なってまいります。
  広域環境保全分野では、現在、「地域環境・地球環境問題に対応し、環境・経済・社会の統合的向上による持続可能な関西の実現」を目標に掲げ、1.「地球温暖化」、2.「生物多様性」、3.「資源循環」、4.「環境学習」の4つの分野において施策を展開しています。
  例えば、府県域を越えて移動するカワウの生息動向・被害状況調査を行い、被害軽減に向けた対策等を共同で研究実施してきました。プラスチックごみ削減に向けた取組なども産業振興と連動する形で始めたところです。それぞれの府県市の方針や取組もありますので、それらを尊重しながら、丁寧に議論してすり合わせながら計画や施策をつくっています。各施策の具体的な取組については今後のメッセージでお届けしたいと考えております。

  先にも触れました温暖化対策に関しましては、わが日本国政府として「脱炭素社会」の実現を目指すことが宣言され、今国会では地球温暖化対策推進法改正案が審議されています。
  関西広域連合としても脱炭素社会の実現に向けた取組について、スケールメリットを生かして何ができるか、また経済界や学界、NPO団体、構成府県市の人びとなど多様な主体との積極的な連携策などを検討し、対応していきたいと考えています。その過程や内容を、悩み等も交えながら、ここでも紹介・提示させていただきますので、皆さんからもご指導やご提言等をいただければ幸いです。
  一緒に頑張りましょう!

 

  2021年(令和3年)2月5日

  少し暖かい春の風が吹き始めた琵琶湖岸で、比叡山を眺めながら

  滋賀県知事 三日月大造

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