平井伸治委員「人口減少問題に挑む新たなステージへ」(令和6年12月26日)
関西広域連合 平井伸治委員(鳥取県知事)からのメッセージ
「人口減少問題に挑む新たなステージへ」
「日本創生に向けた人口減少問題を克服するための国民的運動をスタートさせる」
令和6年11月30日。満堂の人々が見つめる中、鳥取市のとりぎん文化会館で開催された「日本創生に向けた人口戦略フォーラムinとっとり」の舞台で「とっとり宣言」が読み上げられました。石破茂内閣総理大臣も東京から駆けつけ、「明治以来首都に人や金が集まるのは国家としてやってきた国策。わざと作った政策はわざと変えていかなければ国は変わっていかない」と力を込めました。赤澤亮正経済再生担当大臣、人口戦略会議三村明夫議長・増田寛也副議長、丸山達也島根県知事、湯崎英彦広島県知事など各界の論客、更には若者・女性のパネリストなど、熱のこもった議論に会場は沸き上がりました。
2023年に国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の将来推計人口」によれば、日本の総人口は、2050年には東京都を除く46道府県で人口が減少し1億469万人に減り、更に2100年には6,300万人まで半減すると推計されています。民間の有識者グループ「人口戦略会議」は「消滅可能性自治体」や「ブラックホール型自治体」の存在に警鐘を鳴らし、早急な対策を求めました。
全国知事会においても、人口減少問題に立ち向かうため、8月に全都道府県知事で構成する「人口戦略対策本部」を立ち上げるとともに、「人口減少問題打破により日本と地域の未来をひらく緊急宣言」を世に出しました。人口減少問題解決のためには、社会減を緩和する対策、子ども・子育てにやさしい社会への転換、人口減少下での持続可能な地域づくり対策が必要です。そして、それらについて、国、地方、民間企業をはじめ様々な主体、国民が連携協力して、真に効果的な施策や運動を展開していくことが極めて重要です。
石破総理は、人口減少を国の根幹に関わる「静かな有事」と位置づけ、働き方改革や子育て世帯に寄り添った対策を推進するほか、若者・女性にも選ばれる地方、多様性のある地域分散型社会を作ることを打ち出し、「新しい地方経済・生活環境創生本部」を設置するとともに、地方代表を含めた有識者会議での議論を始めました。
こうした日本創生に向けた人口戦略を実効的に展開する鍵は、男女ともに働きやすく、子育てしやすい職場・地域を作ることで若者・女性にも選ばれる地域を創造することにあります。鳥取県では、県庁職員の女性管理職比率は24.8%と全都道府県のトップを走るなど、官民共に全国トップレベルの女性管理職比率を達成し、男女を問わず活躍でき働きやすい職場環境を整えることに注力しています。
また、鳥取県内企業におけるリモートも含めた副業を大都市部等の人材に呼びかける「週1副社長」を先導的に展開し、全都道府県中で圧倒的トップの副業応募者14,676人、採用企業723社1,130人と、時代の波をとらえる成果に至り、関係人口獲得に繋げています。
さらに、鳥取県は「シン・子育て王国」を目指し、これまでにも中山間地の全児童や全市町村第3子以降の保育料無償化、高校3年までの小児医療費完全無償化、手厚い不妊治療支援など、市町村や現場とコンセンサスを形成し、全国に先駆け様々な子育て支援策を講じてきました。その結果、令和4年には出生数が全国唯一増加に転じさせることができるなど、少子化に歯止めをかけようとしています。こうした子育て施策が評価され、鳥取県への移住者の8割は子育て世帯が占めるなど、若い世代に選ばれています。
あわせて、人口減少地域における持続可能な地域づくりに向け、鳥取県では、人口減少等の波に抗えずJA系スーパー全20店舗一斉閉店の危機を迎えたものの、鳥取県独自に市町村、地域、事業者等の協力を得て買物環境確保策を講じることとし、各地の実情に即し、新たなスーパー開設、移動販売、買物向け交通支援などオーダーメイド型の対策を講じてきました。
事業者撤退や路線廃止等が続く中山間地の公共交通についても、事業者と住民ドライバーの協働、市町村のデマンドバス運行、貨客混載交通など、住民・地域・行政の共創によるコミュニティ・ドライブ・シェア(鳥取型ライド・シェア)を推進し、地域の移動手段を確保してきました。また、医師不足については、診療所の設置支援、集会所でのリモート診療、圏域での医師相互派遣などの実践に繋げています。
このように、人口最少の鳥取県だからこそ、小回りを生かして機動的に「課題解決先進県」づくりに挑戦しています。
積年の課題である人口減少問題はまさに待ったなしです。男女ともに働きやすく住みやすい職場・地域づくり、少子化ストップに向けた職場環境整備など、課題解決には経済界、労働界、教育、メディアをはじめ、各界各層が連帯して国民運動を起こすことが必要です。東京一極集中是正は、東京にも他地域にも恵沢をもたらすことになります。
今こそ関西一体となって、日本創生に向けた人口減少対策を先導していきましょう。
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