平成26年度関西広域連合 はなやか関西・文化戦略会議報告

広域観光・文化振興

1.基本認識

  • 2020年東京オリンピック・パラリンピックという絶好の機会に向け、関西は率先して日本文化の魅力を発信しようとしている。2020年が最終目的地点というわけではなく、目指すのは2020年を一つのステップとした持続的な文化発信である。
  • 1964年の東京オリンピックは、日本の高度経済成長期に開催され、インフラ整備というハード面のレガシーが数多く生まれたが、今日の日本は成熟期に入っており、様々な社会的課題の解決や世界貢献など、ソフト面でのレガシーがより求められている。
  • 私たちは開催地と心を一つにして、オリンピック・パラリンピックの開催を祝い、世界の人々をお迎えしたい。単にオリンピック・パラリンピックのために何かをするという発想ではなく、関西の文化がオリンピック・パラリンピックに出会うことによって、何を生み、何を残すことができるのかという視点でこの戦略を考え、オリンピック・パラリンピック後も地域で継承していけるような取組にしていく必要がある。 
  • はなやか関西・文化戦略会議では平成26年度の会議(会議3回、ワーキング会議3回、幹事会2回)で、関西で文化プログラムに取り組む上での基本的な方向性について議論し、以下のとおりまとめた。今後、具体的にどのような事業に取り組んでいくべきか、2016年のリオデジャネイロ大会まで、東京大会開催まで、東京大会開催後といったステージを想定し、段階的に検討をしていくこととする。

2.「関西文化の創造と発信」 3つの戦略

1.つながる関西~関西の強みをつなげる

  • はなやか関西・文化戦略会議の議論の中で、関西からの文化発信について二つの考え方が提示された。一つは、海外からの見え方や注目点を起点として関西の文化資源を磨き、広く発信する考え方である。 
  • 関西の強みが歴史と文化、伝統であることは言うまでもない。文化資源は多様に存在するので、それらをグローバルな視点から磨き抜いて、テーマを設けて関西全体で統一的に見せると、更に大きな発信力を持つ。関西の魅力を効果的に発信するための手法、統一のテーマ、時期などについて、戦略的に検討する必要がある。 
  • 関西広域連合文化振興指針(平成25年度策定)においても、「関西文化」のイメージと魅力を内外に十分に認識してもらうための情報発信を、文化振興の施策体系の第一の柱としている。また、関西経済連合会の関西ブランド力向上研究会が、関西ブランドの構築と世界への発信について、詳細な分析と戦略を既に発表されており、実行に移されている部分もある。

関西観光・文化振興計画の改定を受けて

  • 平成27年3月に改定された関西観光・文化振興計画では、東京オリンピック・パラリンピック等に向けて、「関西の歴史的周年事業など歴史文化の重層的な魅力に焦点を当て、毎年テーマを設定し発信する関西文化首都年事業を関西各地で実施する。」ことが新たに記載され、その具体的な年次テーマの検討は、はなやか関西・文化戦略会議に委ねられた。
  • この計画の意図は、アジアの文化交流首都をめざす関西として、その文化首都たる自負にふさわしい豊富な文化資源を、総花的に並べるのではなく、幾つかのユニークなテーマで切り取り、年次ごとにそのテーマに沿った色々な顔を見せようということであろう。(正確には「文化首都関西プログラム 年次テーマ事業」。)年次テーマとしては、例えば、文化庁が創設する「日本遺産」や、2018年に明治維新から150年を迎えることに着目した近代化遺産などが考えられる。 
  • 「つながる」というキーワードに関して、ワーキング会議では「巡礼」の文化について議論された。西国三十三所参りに、日本の巡礼型観光の原型が見られるといい、○箇所と提示されると全部集めたくなる人間の習性も伺える。関西は日本の精神文化を育んできた土地である。その地を巡り、日本文化の本質を体験する新たな巡礼ルートを、観光サイドとも連携して開発してはどうかとの提案もある。 
  • また、既に取り組まれている、関西広域連合観光分野の「KANSAI国際観光YEAR」や近畿地方整備局の「はなやか関西~文化首都~」等との連携も模索していくべきである。

2.創造する関西~新しい文化を創造する

  • 次に、もう一つの考え方は、地域の持っている文化的なポテンシャルに地域の人々が自ら気づき発信する内発的な動きを助長して、新しい文化を創造し、持続可能な文化活動の活性化を目指すというものである。はなやか関西・文化戦略会議では、こちらに関して活発に意見が出され、ワーキング会議でもそれは同様であった。ワーキング会議の議論は「地域資源発掘・ネットワーク型文化プログラムの推進」としてまとめている。 
  • 文化芸術の持つ創造性を活かした産業振興や地域活性化の取組を進める「創造都市」「創造農村」という考え方があり、ユネスコの「創造都市ネットワーク」や、文化庁の進める「文化芸術創造都市」といったネットワークが全国に広がりつつあるが、特に後者は参加団体の約3分の1が関西地域に集中している。 
  • 文化創造のためには、まず地域の人々による地域の文化資源の再発見が必要である。地域に内在する資源は、身近すぎて認識されにくいが、アーティスト・イン・レジデンスで地域に滞在する外国人の視線など、外からの刺激を受けることによって、地域の住民が自ら文化の価値に気づき、地域資源の再発見、新しい文化の創造へとつながる。アーティスト・イン・レジデンスなどの取組は、各地域で実施されるものであるが、関西ではヨーロッパなど海外のアーティストや職人との交流がこれまでも行われており、関西広域連合は、シンポジウムの開催などを通して、各地域の先進的取組を共有し、お互いのレベルアップにつなげるという役割を果たすとともに、関西各地のこれらの取組を、オリンピックの文化プログラムへと育てていくことなども考えられるだろう。 
  • また、文化創造の動きを継続し、地域の発展に結び付けていくためには、その活動に携わる人材が必要となる。各地域で活動の核となる人材を育成することが課題であるが、関西広域連合は、そのスケールメリットを活かし、各地域で文化活動を展開するキーパーソン同士が交流する機会を設け、人的ネットワークを構築できるよう努めるべきである。同じ志を持って活動する人たちのネットワークこそが、新たな発想やモチベーションを生み出すきっかけとなるだろう。 
  • なお、この文化創造の取組を進めるに当たっては、日本文化のルーツである関西として、日本人の生活文化に根ざした伝統文化の価値を再認識するとともに、異文化との出合いや現代的な解釈によって文化的イノベーションを生み出していきたい。「文化首都関西プログラム」に取り組む際も、伝統の上に新しい文化を生み出す体験型のクリエイティブ・ツーリズムとするべきである。

3. 東京オリンピック・パラリンピックの開催を祝おう

  • 2020年東京オリンピック・パラリンピックに関しては、まずもって祝い、喜ぶ気持ちを表したい。50年前とは時代背景が異なり、東北の苦しみや時代の閉塞感を抱える中での開催ではあるが、だからこそ、祝う形をきちんと見せることで、「楽しみながら祝う」ことが必要である。 
  • 全国各地で文化プログラムが展開されることとなろうが、関西からの文化発信をいち早く見える形で示すことで、国内の気運醸成に貢献することになるだろう。2015年から、関西が先陣を切って、まずはシンポジウム等を開催することによって、関西の文化資源と文化創造の取組を広く発信することとする。また、関西広域連合は、東京オリンピック・パラリンピック文化プログラムの関西での展開をリードしていく。 
  • 時宜を得て、またシンプルなメッセージを正しく真摯に伝えれば、広く賛同者を得ることができる。大金をかけずに誰でも気軽に参加できるイベントで楽しさを共有する。ロンドンオリンピックの開会式で国中の教会の鐘を鳴らしたように、日本でもお寺の鐘や神社の鈴を一斉に鳴らせば、関西には特に寺社が多いので、大イベントになるのではないか。 
  • また、何かと人を喜ばせたい関西人気質の面目躍如となるような「アートで驚く」仕掛けや、自前の文化力で内発的にやりとげる「関西流」へのこだわりも大切にし、関西は関西ならではの催しで来訪者をおもてなしする。その具体的事業については、今後作業部会等を設置し検討していく。(「伝統・歴史」「文化・芸術の創造」「地域からの情報発信・ネットワーク」「誰もが参加できる」等の切り口が考えられる。) 
  • オリンピックを祝う文化事業は、関西広域連合以外にも様々な団体で企画されるであろう。実施主体としては、地方自治体や文化芸術団体、博物館・美術館、劇場、NPO、大学、またアンスティチュ・フランセのように海外と日本をつなぐ文化交流事業を行う団体など、幅広く考えられる。これらの団体にも参加を呼びかけ、関西としてまとまりをもってアピールしていく必要があり、そのためには、これらの事業に関西の文化プログラムとして統一の名称を冠することも有効である。この統一の名称については、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の動向も見ながら検討を進め、決定することとする。 
  • また、特に東京オリンピック・パラリンピック開催時には、各地域・団体のイベントが乱立し、訪れる人に混乱が生じないように、関西広域連合は、関西として共通のテーマで実施する事業と、各地の個性を活かした事業、開催時期などを整理し、関西の文化全体として見やすく横串をさす役割を担うことも大切である。 
  • 2020年の東京オリンピック・パラリンピックを契機として関西は一つにまとまり、2021年の関西ワールドマスターズゲームズ2021の開催にあわせて、また、その後も関西で国際的な文化イベントの開催を計画するなど、取組を継続していくことが必要である。

3.戦略の推進に必要な視点

1.情報発信

  • 関西の文化資源や文化創造の取組を、世界中に発信するための広報戦略について検討する必要がある。宣伝費をかければ大々的に広報をすることもできるが、マスメディアに頼るだけではなく、ホームページはもちろん、ソーシャルメディア(SNS)での発信やブロガーを育てることなど、新しい手法の活用や旅行会社等へのPR等も重要である。一人ひとりが実際にその土地へ行って味わった感動を紹介してもらうことによって、情報が大きく広がっていく可能性がある。 
  • 海外への情報発信には、日本に住んでいる外国人に関西の魅力を語ってもらうことが効果的である。例えば「JETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)」に参加した外国人のネットワークを活かして、関西の魅力発信への協力依頼を行うことも考えられる。 
  • また、関西には、これまでも積極的に文化情報を発信している、関西地域振興財団、関西・大阪21世紀協会、歴史街道推進協議会などの団体がある。これらの団体と連携し、効果的な広報を行うことも重要である。 
  • もちろん、海外への情報発信、また外国人へのおもてなしには、外国語対応が欠かせない。コミュニケーションで重要なのは、言語である。インターネットサイト、ガイドブック、観光案内の多言語化を進めていくことが求められる。

2. 人材育成

  • アートイベントをプロデュースする、又は企画運営する人材が不足していると言われており、2020年の東京オリンピック・パラリンピック後も見据えて、各地域で活躍できるアートプロデューサー、アートマネージャーなどの人材を育成する必要があり、それを支援していく。 
  • そのためには、若い人を思いきって抜擢し、現場でプロジェクトに関わることを通した人材の育成を意識することが重要である。

4.今後の課題

  • 大規模事業に取り組むためには、国からの補助金、企業等からの支援等の資金調達等も含め、関西広域連合の予算や体制の確保が課題となる。事業の企画・運営を外部委託することも検討する必要がある。 
  • 文化庁が中心となって日本版アーツカウンシルの試行を始めているが、2020年に向けた文化発信の盛り上がりの中で、東京とは異なる文化・歴史の多様性をアピールするためには、関西エリアでアーツカウンシルなど新たな枠組みを立ち上げるという方向性も考えられる。 
  • また、関西経済連合会の関西ブランド力向上研究会が提唱した「はなやか関西」を、関西広域連合では「関西ブランド」のコア・コンセプトとして採用している。この「はなやか関西」の活用方法についても引き続き検討していくこととする。
この記事に関するお問い合わせ先

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