はなやか関西・文化戦略会議ワーキング会議のまとめ

広域観光・文化・スポーツ振興の画像

1.会議の目的

 はなやか関西・文化戦略会議において、東京オリンピック・パラリンピック等の開催に向けた関西文化の内外への発信強化について議論する中で、2020年に中核となる若い世代を交えて戦略を検討する必要があるとの意見を受けて、ワーキング会議を開催。オリンピック後も持続可能な変化を「レガシー」として残すためには、どのような事業に取り組むべきか、とういう観点で意見交換を行った。

2.取組のポイント

地域の人が地域の魅力を発見し、発信する。

  • オリンピック・パラリンピックに向けた文化プログラムでは、記念となる大きなイベントを開催することも考えられるが、関西の各地域のもつ様々な文化資源の魅力をつないで発信することも重要。
  • オリンピック後にいかにレガシーを残すかという観点から、地域の魅力を、地域の人が自ら発見し、誇りをもって伝えていくことによって、地域の文化資源を再生する取組に重点を置くべき。
  • 現代美術とのコラボレーションなどにより、既存の文化資源を新たな価値と魅力を備えたものへと進化させる。
  • 地域の文化プログラムを作る際には、住民が地域単位、学校単位等で参加し、協働して作り上げていくプロセスを体感できるようにする。
  • 地域発の小さな取組・イベントの積み重ねで大きな力を生み出す。

地域の魅力を「巡る」。

  • 関西広域連合のネットワークを活かして、各地域の今ある文化資源や取組をつないでいく、あるいは同じテーマで、各地域で事業を展開することが有効。
  • 西国三十三所を「巡礼」するように、海外や国内の他地域から関西に来た人が、様々な地域や魅力を「巡る」ことができるようにする。

「人」に投資する。

  • 関西には数多くの文化資源があるが、「食事(コト)」には「食べ物(食材・モノ)」を調理するシェフが必要なように、文化資源を発掘し、つないで発信する人材がいないと意味がない。
  • 地域の文化活動のあらゆる段階で人材が必要。

すでにある資源を発掘する目線を持った人材

他の地域や施設との連携を発掘する目線を持った人材

地域の情報を発信し、地域と来訪者をつなぐ人材(編集者、ライターなど)

地域と行政や企業をつなぐ人材

  • また、継続して地域に関わってもらうためには、仕事として食べていけるような仕組みがないといけない。

交流する。

  •  人の交流から新しい文化は創造される。「for(従属関係)」ではなく「meets(対等関係)」で考える。国内的にも国際的にも、地域と地域がインターローカルにつながる機会を作る。
  • 各地域で活動する人たちが出会い、学びあう機会を設けてネットワーク化することも有効。
  • 地域の人は、身近すぎてその地域の魅力に気づきにくい。例えば、アーティスト・イン・レジデンスでは、地域の外からアーティストがその地域に入り、地域の人とともに地域課題に取り組むことで、地域の魅力の再発見につながる。

海外から多くの人に関西に来てもらう。

  • ウェブサイト、パンフレット等の外国語対応を進めるとともに、アーティスト・イン・レジデンス等で地域に滞在している外国人にSNS等で情報発信してもらう。
  • 関西空港から東、西に行く人の流れを利用して、関西を通過する時に何か体験をしてから目的地に行ってもらう。
  • ヴェネチア・ビエンナーレ、アート・バーゼル等を利用して、海外でのプロモーションを戦略的に行う。
  • ブレスツアーや交通・宿泊などのサービスとの連携も必要。

3.関西広域連合で取り組む事業アイディア例

伝統・歴史を活かす

関西版「アルテ・ア・ラルテ」

昔ながらの文化・歴史のある町や村で現代アーティストが作品制作・展示。各地のアート作品展示を巡る 参考:イタリア・トスカーナ州

伝統芸能公演リレー

各施設、能楽堂等で外国語対応公演を実施。オリンピック期間中に外国語対応公演を集中開催

新しい文化・芸術の創造

空き家・廃坑活用の関西モデル

空き家・廃校をアーティストの活動拠点、外国人のレジデンス・滞在施設、作品展示施設として活用するモデル開発

「関西」地図・イメージ図

関西の面白い地図やイメージ図を公募

「関西オリジナル」の創作

舞台公演など

各地域からの情報発信・ネットワーク

目利き人材顕彰・ネットワーク

地域資源を発掘し、その魅力を発信する人を顕彰。地域で活動する人たちが出会い、学び合うネットワーク会議を立ち上げ

「ふるさと絵屏風」

村や集落の過去から今に至る人々の暮らしを絵で表現。関西エリア版「絵屏風」の作成。各地の「ふるさと絵屏風」を手ぬぐい等に加工。各地を巡り集めてもらう

関西ミュージアムガイド

2020年東京オリンピック・パラリンピックにあわせて、地域の魅力の再発見を目的とした企画を実施する美術館・博物館等を募集し掲載

海外向け「巡礼路」パンフレット

外国語対応のできている美術館・博物館等の情報を集めた外国語パンフレットを作成

地域魅力発見ツアーホームページ

地域の人が地域を紹介する小ツアーを開発し、ホームページで紹介。面白いタグを付け、検索可能に

関西取材チーム

関西各地を取材し、地域のリアルな情報を多言語で発信する取材チームを編成し、ガイドを作成

「はなやか関西」webマガジン

「アーティスト・イン・レジデンス」「滞在型文化体験観光」などのテーマで、関西エリアをネットワークした情報を発信。魅力的な見せ方のできる編集者・ライターの起用。多言語対応

誰もが参加できるイベント

お寺の鐘、神社の鈴を一斉に響かせる

「踊る」プログラム

2016年リオ五輪にあわせて、各地の踊りを集結。一斉に踊る

「関西検定」クイズ 

海外、子ども向け。全問正解で粗品プレゼント等

4.進め方

  • 2020年に向けて、関西で文化の取組を進めていく意義を住民に伝え、文化プログラムへの気運を高めていくことが必要である。
  • 2016ンrンリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック、2019年ラグビーワールドカップという機会にもあわせて取組を進め、段階的な盛り上がりを作っていくことを意識してスケジュールを組み立てていくべき。

5.引き続き検討が必要な課題

事業

  • 大規模イベントを行う場合の全体コンセプトと総合プロデューサー
  • 数多くの文化資源・取組をつなぐテーマ、キュレーター
  • 障害者の芸術に関するプログラム(ロンドン大会の「アンリミテッド」を参考に。パラリンピックに対応するものとして必要)
  • 子どもたちが参加できる事業

人材育成の仕組み

  • 仕事として食べていける仕組み

協働できる人・団体の調査

  • 面白い活動を行っている団体、文化プログラム事業を担ってくれる団体
  • 学生の力の活用

はなやか関西・文化戦略会議 ワーキング会議委員(敬称略、50音順)

氏名

所属・職

アレクサンダー・ギンナン

鳥取大学大学院地域学研究科院生

鳥取県文化観光スポーツ局交流推進課国際交流員

上田 洋平

滋賀県立大学地域共生センター助教

大河内 智之

和歌山県立博物館主査学芸員

帝塚山大学非常勤講師

佐藤 千晴【議長】

フリージャーナリスト

大坂アーツカウンシル統括責任者

関西広域連合 はなやか関西・文化戦略会議委員

龍村 周

錦の伝統織物作家

株式会社 龍村光峯 代表取締役

坂東 幸輔

建築家

坂東幸輔建築設計事務所主宰、バスアーキテクツ主宰

松山 大耕

妙心寺退蔵院副住職

三戸 俊徳

公益財団法人宝塚市文化財団企画総務課長

ソリオホール・宝塚文化創造館 館長

日本アートマネージメント学会関西部会事務局長

山下 里加

アートジャーナリスト

大阪府市文化振興会議委員

京都造形芸術大学学部アートプロデュース学科准教授

吉岡 恵美子

京都精華大学芸術学部 大学院芸術研究科 准教授

会議の開催経過

第1回会議:平成26年12月1日(月曜日) 京都府国際センター会議室

第2回会議:平成26年12月10日(水曜日)関西広域連合本部事務局大会議室

第3回会議:平成27年2月2日(月曜日) 関西広域連合本部事務局大会議室

第3回会議ゲストスピーカー

小田切聡氏 株式会社インブリージョン代表

刀根浩志氏 観光ビジネス総研代表、観光庁認定観光カリスマ百選

この記事に関するお問い合わせ先

関西広域連合広域観光・文化・スポーツ振興局

〒602-8570
京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町
京都府商工労働観光部観光室内
電話番号:075-411-0620    ​​​​ファックス:075-414-4870
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