関西の食文化 - 発酵食文化

発酵食文化

「発酵」とは?

すぐき漬け(発酵漬物)の仕込み作業の写真

すぐき漬け(発酵漬物)の仕込み作業

 発酵とは、乳酸菌や酵母など微生物の働きを利用し、酸味やアルコール、うま味などを醸成することです。その作用を利用して作られた食品は、保存性を高めるだけではなく、食べ物を美味しくもします。
 この発酵作用を利用してつくられた食品を発酵食品といい、多彩な食材を長期に保存するために生み出された、先人たちの生きるための知恵の結晶であり、関西はもとより、日本各地にそれぞれの地域性や食材に併せた様々な発酵食の文化が根付いています。

発酵調味料と発酵食品

醬油、サバのなれずしの写真

醬油(写真左) サバのなれずし(写真右)

 日本料理の味付けに欠かせない醬油・味噌・酢・酒・みりんなどの調味料は、発酵作用を利用して作られています。
 その中でも、国際的にも「ソイソース」の名で有名な「醬油」は、日本の食文化を支える発酵調味料の一つです。
その他、関西各地には保存食として生み出された様々な種類の発酵食品があり、野菜を発酵させた漬物、魚介では、なれずしなど、古くから地域に伝わる郷土料理には、発酵技術が活かされたものが多くあります。

醬油(SOYSAUCE)のルーツは関西にある

金山寺みそ、いろいろな種類の醬油、醬油の製造風の写真

金山寺みそ(写真左上) 醬油の製造風景(写真右)
いろいろな種類の醬油(写真左下)

 日本人の味覚の原点ともいえる「醬油」。その発祥地は関西にあります。
 1254年、現在の和歌山県日高郡由良町にある興国寺(西方寺)の禅僧、法燈国師(禅僧覚心)が、宋の径山興聖寺で習い覚えた「なめ味噌(金山寺みそ)」の製法を持ち帰り、大豆等で作った麹に塩を加え、麦や野菜を熟成させる製法を紀州(和歌山県)湯浅の村人に広めました。
 その際に湧き出る上澄み液がとても美味しいことに気づき、現在の「たまり醬油」につながったといわれ、その後、醬油の製造が発展していきました。
 その他、播磨(兵庫県)の龍野において、色がうすく、素材の色や味わいを生かす「うすくち醤油」がつくりはじめられるなど、関西では醬油がたくさんつくられるようになり、それらは京・大阪のほか、日本全国へ出荷されるようになりました。また、紀州から銚子(千葉県)へ移り住んだ人が醬油製造をはじめたことで、関東地方でも醬油がつくられるようになりました。
 その後、醬油は海を越えて世界へ運ばれるようにもなり、現在の「ソイソース」としての地位が確立されるようになりました。

関西にゆかりのある発酵食品

阿波たくあん、日野菜の桜漬け、京都の三大漬物(千枚漬、しば漬、すぐき漬)の写真

阿波たくあん(写真左上) 日野菜の桜漬け(写真右上)
京都の三大漬物(千枚漬、しば漬、すぐき漬)(写真下)

発酵漬物

 日本では、漬物はご飯には欠かせないものとして、古くから親しまれてきたものです。関西各地にも様々な種類の漬物が作られており、「ぬか漬け」や「すぐき漬け」など、発酵作用を活かしたものも多くあります。

たくあん

 大根を数日間干したものを米糠と塩で漬けて発酵させたぬか漬けの代表格が「たくあん」です。
今でも関西各地で作られており、徳島県には、醬油やすだちなど柑橘果汁をかけて食べる「阿波たくあん」があります。

京漬物

 特徴ある京野菜を独特の加工・保存技術でつけ込んだ「京漬物」。中でも、千枚漬、しば漬け、すぐき漬けは京都の三大漬物と言われ、その年の新漬けが出ると、人々は季節を感じ、楽しみに味わいます。

日野菜

 滋賀県日野地区の「日野菜」は、主に漬物用として作られた野菜であり、日野菜自身のピンク色が溶け出した「桜漬け」は、自然の色を活かした発酵漬物です。

ふなずしの写真

ふなずし

なれずし

 なれずしとは、魚をデンプン質のものを使って発酵させた漬物のことをいい、日本では、稲作文化を背景に、主に米が使って作られます。なれずしには、漬け期間の短い「生なれずし」と、長期間漬ける「本なれずし」があり、古くから、祭りなどの行事食として食べられてきました。
 ご飯も一緒に食べることが特徴の「生なれずし」は、現在の寿司の原型になったとも言われています。

ふなずし

 ニゴロブナを利用し、ご飯と一緒に発酵させた滋賀県独特のなれずし。冷蔵庫などがない時代、貴重な栄養源である魚を長期保存する方法として考え出されたもので、チーズの風味と少しの酸味の効いた深い味わいがあります。

ぼうぜの「姿ずし」の写真

ぼうぜの「姿ずし」

サバ・サンマのなれずし

 和歌山県に古くから伝わる郷土料理のひとつ。サバやサンマをすし飯にのせ、あせの葉などで巻いて桶に詰め、重しをのせて熟成発酵させたなれずし。ご飯と一緒に食べるなれずしで、ご飯に適度の酸味と旨味がついて味わいがあります。

姿ずし

 「ぼうぜ(イボダイ)」、「アジ」など魚を姿のまま背開きにして、魚の腹にすし飯を詰めて形を整え、木枠に並べて一日以上押しておいたなれずし。
 徳島県では、古くから秋祭りや祝い事で食されています。
古くから魚の寿司は食されていましたが、現在のように行事食として作られたのは19世紀になってからのことで、イボダイを姿ずしにする風習は徳島県にしかありません。

阿波番茶の写真

阿波番茶

発酵茶

 大きく育てた茶葉を、樽などで10日~3週間漬け込み、乳酸菌によって完全に発酵させてから乾燥してつくった茶であり、徳島県には江戸時代から作られている「阿波番茶」と呼ばれる独特な発酵茶があります。
このお茶は、薄い茶褐色をした独特の香味を持っており、飲用にするほか、川魚を煮る際に使うと骨までやわらかく臭みもとれることで知られています。

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