同じ木でも一本一本違う。硬いところと柔らかいところ、見極めながら彫り進めます同じ木でも一本一本違う。硬いところと柔らかいところ、見極めながら彫り進めます

木製靴べら 伊川彫刻店(徳島県)

唐木仏壇彫刻の老舗がつくる
使いやすい木製靴べら

「もともと徳島は唐木仏壇の産地だったんです。子どもの頃から跡継ぎにと言われていたので、高校を卒業してからすぐに京都に修行に出ました」と話すのは、伊川彫刻店三代目彫昌こと伊川昌宏さん。現在、徳島の唐木仏壇は少なくなってしまったものの京仏具と唐木仏壇彫刻の技法で社寺彫刻から仏壇彫刻、五月人形や阿波雛まで幅広く制作されています。なかでも五月人形の木彫り兜は力強くも繊細な彫りが魅力で、一年の注文の半数を占めるそう。「兜をはじめ、個人のお客さんからの注文が年々増えてきて、最近はオーダーメイドでの注文も多い。ユニークなアイデアでこちらが驚かされるものもあるけん、面白いですよ」と、オリジナルデザインの記念品やアイドルのコンサートノベルティまで幅広く制作。

木製の靴べらは「末永く愛される商品を作りたかった」と徳島のデザイナーと一緒に開発。無駄のないシンプルなデザインと機能性の両立はデザイナーがいなければ成し得なかったと伊川さんは言います。「やっぱり職人なので、どうしても視野が狭くなりがち。デザイナーさんの意見は新しい風でした」。立ったままでも使いやすい長い柄は手に馴染みやすいろくろ彫、オイル仕上げのなめらかな手触りが魅力です。靴べらは思った以上に力が加わるため、使う木は台座を含めてすべて硬めのケヤキの無垢材が使われています。

「靴べらに使う木は徳島か高知のケヤキです。徳島はいろんな木が入ってくるのがいいけんね。同じ木でも産地が違うと硬さも彫りやすさも全然違ってくるのが面白い」と伊川さん。さまざまな木の特質を熟知しているのも長年の経験があってこそ。靴べらにもその深い造詣が生かされています。

有限会社伊川彫刻店

〒770-0866
徳島県徳島市末広3-1-56
Tel.088-653-5315
http://www.hori-masa.co.jp

明瞭な木目と耐久性が魅力、
四国ですくすく育った木材。

靴べらに使われる木材は台座を含めてすべて四国産のケヤキやウオールナット、ホワイトアッシュ、チーク。明瞭な木目で見る人を楽しませてくれ、耐久性や硬度、扱いやすさのバランスが良い木材だそう。人の命よりも長くじっくりと育ってきた木でできた靴べらだからこそ、いつまでも長く使い続けられるのが嬉しい。

明瞭な木目と耐久性が魅力、四国ですくすく育った木材。最終デザインを思い描きながら一つひとつ丁寧に切り抜く。

最終デザインを思い描きながら
一つひとつ丁寧に切り抜く。

足抜きしやすいよう細めの幅とゆるやかに描かれたカーブが伊川さんの靴べらの魅力。そのためには荒彫りの時点からちょうどよい厚さを確保しておく必要があります。太すぎると次の工程で無駄が出るため、最終デザインを想像しながら糸鋸を使って左右均等に切り抜きます。

一瞬たりとも気が抜けない、仕上がりを左右する最終工程。

一瞬たりとも気が抜けない、
仕上がりを左右する最終工程。

高速回転するペーパーで木材を削り、靴べら部分を仕上げていきます。粗目のヤスリでの研磨作業は気を抜くと削りすぎてしまうため、経験を積んだ職人でも集中力が求められる作業。最終工程では、なめらかな手触りにするために細目のサンドペーパーで仕上げていきます。

木製靴べら - 伊川彫刻店(徳島県)

立ったまま使える長い柄と
やさしい木の風合いが魅力的。
玄関にスッと収まる良デザイン。

ケヤキ、ウオールナット、ホワイトアッシュ、チークを使ったナチュラルな風合いが魅力の木製靴べら。腰をかがめなくても、立ったまま使える長い柄が特長の靴べらロング角形スタンド付きは身長に合わせて70cmと77cmの2種類をご用意。
また、下駄箱の上に置いておいても映える、無駄のないデザインが魅力のミニ靴べらもあり。使いやすさだけでなく、無垢材だからこそ使い続けるほどに風合いが増していく楽しみも。

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