鳥取の風土と歴史にはぐくまれた弓浜絣の手仕事の伝統を次世代につなぐために鳥取の風土と歴史にはぐくまれた弓浜絣の手仕事の伝統を次世代につなぐために

弓浜絣(ゆみはまがすり) 鳥取県弓浜絣協同組合(鳥取県)

糸を紡ぎ、括り、染め、織る
職人として生きる人々の情景

鳥取県弓ヶ浜。米子から境港を結ぶこの砂地の土地は、江戸中期以降、良質の「伯州綿」の産地として知られ、周辺に暮らす農家の女たちの手で、独自の藍染綿織物「弓浜絣」が発達しました。村人の日常に密着した、素朴で伸びやかな縁起ものの「絵絣」を特長とし、倉吉絣、広瀬絣とともに山陰の三絵絣のひとつに数えられる弓浜絣。時代が昭和へと移り、繊維産業が機械化・量産化を進める波に、弓浜絣は次第に取り残されていきましたが、その一方で、この土地では人の手から手へ、細々とながら、昔ながらの技法が伝承されていました。

弓浜絣を作る工程は、まず糸を紡ぐところから。最近では機械による紡績糸を使う織元も多いとはいえ、手紡ぎ糸が醸し出す風合いにはやはりかなわないといいます。紡いだ糸は、絣の模様を織り出すため、藍と白に染め分ける作業へと進みます。染めの前段階で必要な、この白く染め残す部分を作る下準備が「括り」。「括りさえしっかりしていれば、目をつむっていても絣が織れる」というほど大切な作業です。括った糸は藍で染められ、擦れに強い丈夫な繊維となって、織元の手で細かな微調整を加えられながら、美しい絣に織り上げられます。

一反の織物ができるまでに必要な、これだけの細かい工程の積み重ね。この手仕事の伝承を絶やさないために、米子市や境港市などの支援のもと、「弓浜がすり伝承館」を拠点に若手職人育成のプログラムを実施しました。熟練のベテランと若手新人。伝承する側とされる側でありつつも、お互い刺激を受けあって切磋琢磨する、そんな関係の中で、誰もに共通するのは「弓浜絣を多くの人に知ってもらいたい」という強い思いです。

鳥取県弓浜絣協同組合

〒683-0004
鳥取県米子市上福原738-5
Tel.080-4731-8712
https://sites.google.com/view/yumihamagasuri/

名人亡き後を担うため、「括り」を極めたい。[中村括り]

名人亡き後を担うため、
「括り」を極めたい。[中村括り]

フリーターを経て職人の道を志し、「弓浜がすり伝承館」の研修生として学んだ中村さん。平成22年より独立し工房「中村括り」を立ち上げ。かつて織元の信頼を集めた名人が亡くなり、後継者不在が心配された「括り」を、自分の最大の生かしどころと決め、伝統のバトンをつなぎます。

長くご愛用いただける弓浜絣を目指して[絣音工房]

長くご愛用いただける
弓浜絣を目指して[絣音工房]

京都の大学で染めを学んだ後、帰郷。「伝承館」卒業生として、糸紡ぎから織りまでの全工程を自宅工房で行う、元組合員の稲賀さん。1基所有する藍がめで、毎日藍をかき混ぜ、温度とphの管理を行います。約1年で入れ替える藍は、捨てる間際になると薄くしか染まりませんが、それもいとおしいとか。

昔の柄をガラスごしに丸写しして絵絣を学んだ日々。[南家織物]

昔の柄をガラスごしに丸写しして
絵絣を学んだ日々。[南家織物]

織元である家に嫁いでから、義父母の仕事を見よう見まねで覚えたという伝統工芸士・南家さん。手機と足踏み織機の両方を使いこなし、スケッチから描き起こす、オリジナルの創作絵柄を伸びやかに織りあげます。かつて洋裁を学んでいたこともあり、布やデザインへの愛着は人一倍。

弓浜絣 - 鳥取県弓浜絣協同組合(鳥取県)

藍の美しさと、絣の創造性と。
手仕事と暮らす楽しさを
現代のライフスタイルにも。

工房一覧
村上絣織物
弓浜絣工房B
織房絲の文
鳥取弓浜中村括り
南家織物

PRODUCTS - 2019

PRODUCTS - 2018

PRODUCTS - 2017

PRODUCTS - 2014

PRODUCTS - 2013