堺刃物の伝統をベースに新たな台所文化のスタンダードを創りたい堺刃物の伝統をベースに新たな台所文化のスタンダードを創りたい

堺包丁ei series 八内刃物製作所(堺市)

よい包丁を研ぎ直しながら永く使う
メンテナンス習慣を日々の暮らしに

刃先を注意深く見ながら、砥石を使い丁寧に研ぐ手元。鍛冶屋が鍛造した鋼生地を研いで、切れ味鋭くする「研ぎ師」八内剛志さんの仕事には、600年に亘って受け継がれてきた「刃物のまち」堺の伝統が息づいています。八内さんは、昭和12年創業・八内刃物製作所の三代目。

「昔は家業を継ぐ気なんかなくて、電鉄会社に就職して働いていました。でも実家に戻るたび、職人がどんどん減っている状況を見聞きしているうちに、このままでは堺の包丁がなくなってしまうと思ったんです」。

家業に戻り、改めて父の元で技を磨き始めた八内さんにとって、追い風となったのが近年の和食ブーム。切れ味鋭い包丁を求めて、海外から堺を訪れる人が増えるにつれ、堺包丁の良さをもっと多くの人に知ってもらいたいという思いが八内さんの中で強まりました。

「自社ブランドで新しい包丁を作り、デザイン賞を獲得したことも大変いい勉強になりましたが、今やりたいのは包丁を巡る“しくみ”を新たに作ることです」と語る八内さん。600年の歴史を持つ堺包丁の作りは、もはや手を加える必要がないほど完成度の高いもの。むしろ今必要なのは、その切れ味をプロが定期的にメンテナンスできるような関係性の作り方ではないか、という社外デザイナーの指摘がきっかけになりました。

プロの料理人でさえむずかしい「研ぎ」は専門家に任せる。そんなスタイルをこれからの台所文化のカタチとして提案する「ei シリーズ」は、研ぎ直しに出す時のためのセーフティキットがセットされており、郵送も簡単。手持ちの包丁を研ぎに出している間は、スペアの堺包丁が届くので台所仕事に不自由をきたす心配はありません。これなら職人が手をかけて作った逸品と永く付き合い、自分のものに育てていく楽しみが味わえそうです。

八内刃物製作所

〒590-0928
大阪府堺市堺区北旅籠町西2丁2-13
Tel.072-320-8640
http://yauchi-hamono.com

鍛冶屋から届いた生地を荒砥と本砥にかける。

鍛冶屋から届いた生地を
荒砥と本砥にかける。

鍛冶屋が鍛造し、強度を高めた「生地」。八内さんの仕事は、この生地のゆがみを直し、円砥にかけるところからスタート。水が噴き出す中、回転する円砥に生地を押し当て、地金に挟まれた鋼を露出させていきます。この時の円砥への当て方ひとつで、露出する鋼の幅や角度が決まります。

紙やすりの番手を変えながら磨き上げる。

紙やすりの番手を
変えながら磨き上げる。

荒砥と本砥を終えた生地を、バフと呼ばれる機械にかけ、紙やすりの番手を徐々に目の細かいものに変えていきながら磨き上げます。刃とバフの摩擦で火花が飛ぶ中、刃先の様子を注意深く観察しながら作業。ひとつひとつの工程を積み木のように積み上げていくので、気が抜けません。

最終仕上げの小刃づけは手作業で。

最終仕上げの
小刃づけは手作業で。

バフを終えた刃を、4種類の砥石を使って研いで小刃づけします。ここが切れ味の決め手。「最近は人工砥石もいいものが出ていますが、天然砥石の方が切れ味がより長持ちする気がします」と八内さん。砥石自体も定期的に研いでおくのが、「プロの研ぎ師」の極意だとか。

堺包丁ei series - 八内刃物製作所(堺市)

刃物のまち・堺の伝統を宿した
定番包丁4タイプ。
柄は3種の木から選べます。

eiシリーズには刃が4タイプ。柄がホウ、ウォールナット、ローズウッドと3種揃って、それぞれ価格が異なります。写真左上から時計回りに、刃渡り長めな牛刀、野菜から肉・魚までオールマイティに使える三徳包丁、和包丁の特性を生かしたパン切ナイフ、細かい作業に適したペティナイフ。

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