若い世代の心に響く雪花絞りの魅力を和装以外の世界にも若い世代の心に響く雪花絞りの魅力を和装以外の世界にも

雪花絞り無撚糸タオル、
手ぬぐい
いづつ(京都市)

和と洋のテイストがミックスされた
現代の暮らしに似合う日用品

リズミカルに雪の結晶のような柄が並んだ「雪花絞り」。北欧デザインとも相通ずる素朴な魅力を持ったこの文様は、江戸時代初期に愛知県の有松で生まれた染めの一つ、気の遠くなるような手間とコストのかかる鹿の子絞りとはひと味違う「庶民の絞り染め」として、全国に広まり愛されてきました。

そんな「雪花絞り」で和装品の枠を超えたものづくりを展開しているのが、明治25年に創業された絞り染めの老舗「いづつ」の山田智久さん。芸大の染織科で学んだ後、友禅染の工房での下積みを経て家業に戻り、今や新商品開発の中心を担う若き五代目です。和装産業が下火になり、周囲で後継者不足に拍車がかかる中、山田さんは持ち前の「ものを作るのが好き」という性格を発揮。手に取りやすい生活雑貨に力を入れ、自ら染めにも腕を振るってきました。

ベースとなる白いタオルは国内最高の技術を誇る今治産。山田さん自身が肌で風合いを確かめて選んだ無撚糸タイプで、洗ってもふんわりソフトな風合いが続くのが特徴です。「このタオルを百貨店でテスト販売してみたら、呉服や絞り染めには縁のなかった20代30代のお客様が、柄の魅力に目を留めて買ってくださって。そういう生活に密着したものづくりっていいな、と改めて思いました」。

そして近年SNSなどの口コミで広がり、いづつの名物となったのが、雪花染めを体験できるワークショップ。

「雪花絞りは初心者でも簡単にできて、少々の揺らぎも味になるのが魅力。お客様の大胆な染めっぷりを見て、こちらが逆にヒントをいただくことも多いんですよ」。その言葉からは、次世代を見据えた柔軟さが見え隠れします。

株式会社いづつ

〒604-0003
京都府京都市中京区衣棚通竹屋町下ル花立町258
Tel.075-223-0122
http://izutsu-kyoto.jp/

生地を丁寧に折りたたみ染めの下準備を。

生地を丁寧に折りたたみ
染めの下準備を。

糸でくくる絞り染めとは違い、雪花絞りはタオルをしっかり伸ばして広げてから、規則正しく小さな三角に折りたたみます。これの上下を専用の器具で挟み、きつく締め上げると準備完了。ここでズレないように丁寧に作業するのが、リズミカルできれいな柄を生み出す秘訣。

染めは短時間の勝負。秒単位で呼吸を合わせて。

染めは短時間の勝負。
秒単位で呼吸を合わせて。

温度約50~55度の染料液を作り、いよいよ染め。タオルがぐんぐん染料を吸い上げるので、10秒ずつほどの規則正しいリズムで手早く染めたい箇所を浸します。生地を挟んで締め上げる器具は、かつては木の板が定番でしたが、山田さんは中の色が見える透明アクリル板を使い自ら改良。

白と藍色のコントラストが文様となって現れる瞬間。

白と藍色のコントラストが
文様となって現れる瞬間。

手早い作業で染め上げたタオルは、アクリル板から取り外して水洗いに。その後約80度の熱湯にさらし、色止めを行います。これで家庭の洗濯でも色落ちの心配なし。白と藍色のコントラストが描き出す素朴な文様には、時代や国境を超えて愛される魅力があります。

雪花絞り無撚糸タオル、手ぬぐい - いづつ(京都市)

毎日使うものだから
人の手のぬくもりを宿した
愛着の持てるものを。

いづつでは従来から作っていた雪花絞りの手ぬぐいに加え、平成28年からはタオルも雪花絞りシリーズに加えました。一枚ごとに染め上がりの表情が違うところが魅力です。写真左列が雪花絞り手ぬぐい3種。雪花絞り無撚糸タオルのラインナップは、中列上がフェイスタオル、右列上がバスタオル、中列下と右列下はハンドタオル。

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