在来種・伯州綿を通じ、地域に根差したものづくりを育てたい在来種・伯州綿を通じ、地域に根差したものづくりを育てたい

伯 HAKU きさらぎ(鳥取県)

和綿の里・境港の歴史をつなぐ
「シーブリーズコットン」ができるまで

鳥取県西端の弓ヶ浜半島は、かつて江戸時代に良質の綿の産地として全国に名を馳せた土地。しかし明治以降、輸入綿に押されて和綿栽培は衰退し、在来種「伯州綿」も伝統織物・弓浜絣の作り手たちによって細々と守られてきたにすぎませんでした。そんな伯州綿が再び脚光を浴び始めたのは平成21年頃のこと。地場産業振興の一環として、境港市による栽培が始まったのがきっかけでした。そして地元産の綿を活用すべくオーガニックコットンブランド「伯」を立ち上げたのが、長年地元で文具や雑貨を扱ってきた、株式会社きさらぎです。

「当社は、長年文具の流通小売業を主としてきましたが、平成9年頃からゲゲゲの鬼太郎グッズを企画製造するなど、この地域に根差したものづくりをしたいという思いはずっとありました」と話すのは代表取締役の木村正明さん。まずは綿のことを知ろうと小さな畑を借り、農業公社の指導のもと種まきから栽培を学びました。やがて伯事業部に加わった岡島陽子さんとともに、第一弾の開発商品をタオルやマルチケットに絞ると、次なる課題は糸づくり。知る人ぞ知るオーガニックコットンの第一人者の協力を得て、約半年の試行錯誤の末に完成したオリジナル綿糸は、この地域特有の潮風にちなんで「シーブリーズコットン」と名付けられました。そして人々の希望をのせたこの糸は、今治や山梨など最高技術を持つ産地で織り上げられ製品に。「理想の風合いを求めてありとあらゆるタオルを試した」という苦労に報いるような、適度なコシと肌へのやさしさを併せ持つ質感に仕上がりました。さらに、伯州綿の枝と葉を使った世界初の「綿木染」も誕生するなど、伯州綿の可能性はますます広がっています。

「すでに次の商品アイデアも検討中です。伯州綿と境港の資源をつなげて、地域活性化に貢献できるといいですね」。木村さんの顔がにっこりほころびました。

株式会社きさらぎ
「伯」事業部

〒684-0021
鳥取県境港市馬場崎町211-1
Tel.0859-44-3535
http://www.haku-cotton.jp

3年以上農薬や化学肥料を使わない土地で丁寧に栽培。

3年以上農薬や化学肥料を
使わない土地で丁寧に栽培。

言い伝えでは、この地域特有の砂地と潮風が伯州綿栽培に適しているとか。春に種まきをすると夏に開花し、9月以降、冬にかけて収穫期を迎えます。農薬を使わないため、とくに夏は雑草との闘い。伯事業部以外のメンバーも1日数十分ずつ交替で畑に出て、みんなで綿花の成長を見守ります。

約半年もの開発期間を要した「シーブリーズコットン」。

約半年もの開発期間を要した
「シーブリーズコットン」。

糸の開発には、国内随一のオーガニックコットンの権威に助言を仰ぎ、約半年かけて取り組みました。伯州綿に外国産の良質なオーガニック長繊維綿をブレンドし、しなやかさを持たせた糸は、オゾン漂白など環境にやさしい加工法で漂白・染色。撚りの加減にもこだわりました。

畑の恵みを丸ごと使った世界初「綿木染」も開発。

畑の恵みを丸ごと使った
世界初「綿木染」も開発。

伯州綿の枝と葉を集め、ほんの実験のつもりで染色工場に依頼してみたところ、「まさかこんな色が出るとは夢にも思わなかった」という染め上がりに。煮出す時間や浸染時間、温度の違いによって、グリーンからベージュ、オレンジまで、味わい深いカラーパレットが生まれました。

伯 HAKU - きさらぎ(鳥取県)

自然のままに育てた
上質オーガニックコットン。
綿木染の美しい色も魅力。

おろしたてでもよく水を吸い、使い心地は満点。ふるさと鳥取の自然をイメージした和の色名も印象的です。写真左から「バスタオル/白練」、「フェイスタオル/薄桜・露草」。伯州綿の枝葉で染めた「ミニハンカチ/焦空・陽光・伯州緑・白茶」。写真右は鳥取砂丘の砂紋をイメージし織り上げた「マルチケット/白砂・砂丘」。

PRODUCTS - 2019

PRODUCTS - 2018

PRODUCTS - 2017

PRODUCTS - 2014

PRODUCTS - 2013